事例

GX(グリーントランスフォーメーション)における事例を紹介!政府の取り組みについても解説

「具体的なGX推進のため、企業のGX推進事例を知っておきたい」
「日本のGX方針は? 流れを正確に理解し、出遅れないようにしたい」

このように考えている企業の担当者もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回の記事ではGXにおける政府の取り組みや、企業の事例について紹介します。

さまざまな取り組みや事例を扱っているので、この記事を最後まで読み進めることでGXに対する理解度が高まります。

GX推進を企業の最重要アジェンダとして、今すぐはじめていかなければいけないという方は、ぜひチェックしてください。

そもそもGX(グリーントランスフォーメーション)とは?

GXとは、地球温暖化につながる温室効果ガスの排出量を抑える「CO2の排出削減」と「産業競争力向上」の両立を目指す取り組みのことです。

2022年6月に岸田内閣が発表した「新しい資本主義の グランドデザイン及び実行計画」の中で、GXを重点投資分野の1つに位置付けたことから、国内でも注目度が高まっています。

国内外の機関投資家を中心にESG投資への意欲が強まっており、GXに対応した事業を行うことで出資を受けやすくなることもあるでしょう。逆に、現状の事業をGXに対応させないと、資金の引き上げの可能性も高くなり、企業の競争力を大きく削がれることになります。

法整備の進行、政府の補助金、投資家の方針転換、消費者の意識の変化など、GXは企業のビジネスモデルの変革を強く促しています。

GXの国内事例5選

GXの国内事例として、以下の5つをピックアップしました。

  1. トヨタ自動車株式会社
  2. ENEOSホールディングス株式会社
  3. 株式会社リクルートホールディングス
  4. 株式会社アリガプランニング
  5. 新日本開発株式会社

1. トヨタ自動車株式会社

トヨタ自動車株式会社は、地球環境に関する2050年までの長期的な取り組みを「トヨタ環境チャレンジ2050」と定め、推進しています。

2021年6月には、カルナタカ州ビダディの工場、同敷地内にある拠点で購入する電力の100%再生可能エネルギー化を達成しました。

太陽光発電を活用することで、2014年~2022年3月にかけて286,794tのCO2を削減しています。

他にも、廃シートベルトをクルマの側面保護ネット材として再利用する取り組みにも積極的に取り組んでいます。

各地域の特性も考えつつCO2回収、再利用などの技術開発も進めているため、今後もさらなる成果が期待できるでしょう。

2. ENEOSホールディングス株式会社

ENEOSホールディングス株式会社は、生活拠点において省エネルギーの推進を実施しています。

100%子会社であるJX金属株式会社は、2020年11月チリにあるカセロネス銅鉱山を共同出資者である三井金属鉱業株式会社、三井物産株式会社から保有する鉱山の権益すべてを譲受。

2021年1月から鉱山で使用する電力の全量を水力・風力・太陽光などの再生可能エネルギーに切り替え、電力使用におけるCO2排出量ゼロを実現しました。

また、国内輸送では配送効率や燃費効率に優れたタンカーの利用、輸送ルートの最適化などを行い、CO2排出量の削減に取り組んでいます。

2018年には44万tだった年間のCO2排出量が、2020年には38万tまで削減されました。

エネルギー企業として先進的なGXに取り組んでおり、高い成果を出しています。

また、2021年には再エネ大手のジャパン・リニューアブル・エナジーを2000億円で買収し、再エネ企業への転換も加速させたいとの思いが見てとれます。

3. 株式会社リクルートホールディングス

リクルートホールディングスでは、温室効果ガス排出量の削減を行うため、2020年8月から自社ビルのリクルートGINZA8ビルにおいて、化石燃料由来から太陽光などの再生可能エネルギー由来の電力プランに切り替えました。

リクルートGINZA8ビルの年間電力使用量は約190万kWh。CO2排出量に換算すると約880トンもの削減効果があり、これは約1万人が飛行機で東京~大阪を1往復した場合のCO2排出量に相当するといいます。

また自社のデータセンターを統合し、分散していたIT機器を集約するだけではなく消費電力の低い最新機種に変え、環境負荷を減らしています。

フリーペーパーの配送を自社で行うなど、他にも細かい取り組みを行っており、GXを推進しているのがポイントです。

4. 株式会社アリガプランニング

建設業を行う株式会社アリガプランニングでは、太陽光発電システムや地中熱利用空調システムを自社の事業に導入しています。

その結果、空調のエネルギー消費量削減につながり、50%以上の削減に成功しました。

他にも断熱性能の向上のために、オフィスに真空トリプルガラスを採用するといった細かい取り組みも行っています。

今後は、地中熱利用の空調システムを利用した建物の販路拡大を目指していることから、更なる発展が期待できるでしょう。

5. 新日本開発株式会社

廃棄物処理業を営む新日本開発株式会社では発電つきの焼却炉を新設し、CO2の削減に取り組んでいます。年間で5,387tのCO2の削減に成功しており、高い成果を出しています。

また、CO2の削減に成功しているだけではなく、発電した電力を販売し、更なる利益の追求にも成功しています。

GXの取り組みによってCO2削減に貢献するだけでなく、顧客や取引先の開拓によって業績改善にも効果を発揮しています。

GXに対する政府の取り組み

政府もGXに対して様々な取り組みを行っています。

ここからは、経済産業省と環境省のそれぞれが行っている施策を分けて詳しく見ていきましょう。

1. 経済産業省

経済産業省では、2050年までにカーボンニュートラルを目指すことを目的とした「グリーン成長戦略」を推進しています。

「グリーン成長戦略」では、14の重点分野に対し、予算、税、金融、規制改革・標準化、国際連携など、政策を総動員してイノベーションを起こそうとする企業の挑戦を後押しするとしています。

「グリーン成長戦略」の中でも、カーボンニュートラルは、「並大抵の努力ではできない。」と述べられており、これまでのビジネスモデルや戦略を根本的に変えていくことがカーボンニュートラルの実現には欠かせないとしています。

引用:経済産業省「グリーン成長戦略(概要)資料

2. 環境省

環境省は地域脱炭素移行を行う企業に対して、再エネ推進交付金など地方公共団体への支援を行っています。

2025年度までに少なくとも100か所以上の脱炭素先行地域の創出を目指しており、施策の強化が図られています。

財政投融資を活用して脱炭素化を行う事業を支援する脱炭素化支援機構を設置。幅広く支援を行っているのが特徴です。

また、民間事業者に対するリモートワーク拠点の整備、国立公園・国定公園などの自然を意識した滞在環境の整備なども支援しており、企業が活動しやすい枠組みを用意しています。

各業界ごとのGXにおける取り組み、戦略

以下の業界に絞って、各業界のGXの取り組みを紹介します。

  1. 鉄鋼業界
  2. 化学業界
  3. 石油業界
  4. 株式会社アリガプランニング
  5. 電機・電子業界

業界における具体的な戦略についても記載しているので、自社で取り組む際の参考にしてみてください。

1. 鉄鋼業界

製鉄業界は製造プロセスにおいて大量の石炭を使用しており、多くのCО2を排出しています。

そのため、鉄鋼業界では高炉、圧延、電炉、直接還元など各工程で革新的な技術を導入することで、大きなCO2削減効果が見込めます。

特に水素供給インフラの構築に力を入れており、水素を活用してコークス使用料を抑えようと取り組んでいるのが特徴です。コークスの代用としてバイオマスの使用も行っており、資源の節約も徹底しています。

また、脱炭素電源として再生可能エネルギーの導入も行っているのもポイントです。

他分野との連携も見据えており、効率的なGXの推進が期待されています。

具体的な戦略

引用:一般社団法人 日本経済団体連合会「グリーントランスフォーメーション(GX)に向けて

鉄鋼業界は、高炉水素還元技術とCO2分離回収技術等を組み合わせた「COURSE50」の実用化・普及を強化しています。

水素のみを還元剤として、鉄鉱石を還元する水素直接還元の技術開発にも着手しています。
より発達が進むことで、さらなるCO2排出量の削減につながるでしょう。

2. 化学業界

化学業界では、石油化学製品におけるナフサ分解や原料転換などを行ったCO2削減のトライアルが行われています。

他にもCO2の削減、脱炭素電源の導入などを最終目標としており、さまざまな取り組みを実施しています。また、CO2の分離回収にも取り組んでいるため、さらなるCO2の抑制につながることが期待されています。

他業界と比べても細かい取り組みを多数実施しており、今後の飛躍が期待できるでしょう。

具体的な戦略

引用:一般社団法人 日本経済団体連合会「グリーントランスフォーメーション(GX)に向けて

化学業界は廃プラスチックやCO2を原料に化学品を製造するケミカルリサイクルに対して、特に注力しています。

ケミカルリサイクルが実現することで、CO2の削減や資源の再利用が可能になります。従来の炭素フローから脱却するために、現在も施策が推し進められています。

3. 石油業界

石油業界では燃費向上に関する燃料開発や、次世代バイオ燃料の導入や技術開発を実施しています。水素とCO2の合成燃料であるe-fuelの開発にも取り組んでおり、高い将来性を感じさせます。

また、廃プラリサイクルやカーボンリサイクルなど、資源の再利用にも力を入れています。

具体的な戦略

引用:一般社団法人 日本経済団体連合会「グリーントランスフォーメーション(GX)に向けて

石油業界では、CO2フリー水素のサプライチェーンの構築を実施しています。水素のサプライチェーンの構築を行い、脱炭素社会の推進を行っているのです。

他にも水素とCO2の合成燃料e-fuelの開発に取り組み、CO2排出の抑制も図っています。

4. 電機・電子業界

電機・電子業界では、発電におけるゼロエミッション化、発電設備の効率化を図りエネルギー転換を図っています。

他にも、輸送手段の低炭素化、テレワーク、ペーパーレスなど細かい取り組みを行っているのもポイントです。

政府がバックアップする再利用可能エネルギーの導入、発電設備の効率化、電力需要の効率化・低炭素化、社会の削減貢献を軸に多くの取り組みを実施しています。

具体的な戦略

引用:一般社団法人 日本経済団体連合会「グリーントランスフォーメーション(GX)に向けて

電機・電子業界では発電のゼロエミッション化に関する技術開発を行い、カーボンフリーの実現を目指しています。

また、機器やデバイスの開発にも力を入れており、次世代の充電システムを考案しています。

GXの先行事例を研究して理解度を高めましょう

国内でもGXの先行事例が多く存在しており、参考にすることで自社で取り組むべき内容が見えてきます。

今回の記事ではさまざまな業界や企業の事例を解説しているので、参考にしたうえで自社での取り組みに役立てていきましょう。

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