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脱炭素アドバイザーとは|種類や資格の概要、難易度、メリットについて一挙紹介

「脱炭素アドバイザーってどういう資格?」
「脱炭素アドバイザーを取得するとどんなメリットがあるの?」

2023年夏から開始された脱炭素アドバイザーの資格制度。資格の概要やメリット、難易度などがわからない方も多いのではないでしょうか?

この記事では、脱炭素アドバイザーについて詳しく解説していきます。脱炭素アドバイザーの概要を知りたい方、資格を取得したい方は、ぜひ最後までご覧ください。

脱炭素アドバイザーとは?

脱炭素アドバイザーとは、環境省が認定した民間の資格です。脱炭素アドバイザーを取得することで、脱炭素に向けた取り組みに対してアドバイスをする際、その内容が正しいものであるという証明になります。

地球環境問題や脱炭素に関する民間の資格はいくつかありますが、脱炭素アドバイザーはその中で初めて環境省が認定した資格です。環境省が資格制度の運営を行っているわけではなく、環境省が認定して民間が運営している資格です。

脱炭素アドバイザーの資格は、環境省策定のガイドラインに適合した試験に合格することで取得できます。具体的には、スキルアップGreenが実施しているGX検定などがあります。

脱炭素に向けた企業の取り組みに対してアドバイスをする自治体職員の方や、金融機関の中小企業担当の方、企業のGXやサステナビリティ推進担当の方などは、脱炭素アドバイザーの資格を取得することをおすすめします。もちろん、GXや脱炭素の知見を深めたい方にもおすすめです。

脱炭素アドバイザーが注目されている背景

脱炭素アドバイザーが注目されている背景には、脱炭素に向けた取り組みの優先度が高まっていることが挙げられます。日本政府の「2050年カーボンニュートラル宣言」をはじめとして、世界各国がカーボンニュートラルに向けて尽力しています。

企業の脱炭素化を進めるためには、CO2の排出量を具体的に算定して施策を考え、行動に移す人材が不可欠です。しかし、その人材が不足しているのが実情です。

そこで始まったのが、脱炭素アドバイザーの資格制度です。国が主導となって資格制度を設けることで、脱炭素に関する専門的な知識を備えたアドバイザーを育成することを目指しています。

脱炭素アドバイザーの種類

脱炭素アドバイザーには、以下の3種類があります。

  • 脱炭素アドバイザー ベーシック
  • 脱炭素アドバイザー アドバンスト
  • 脱炭素シニアアドバイザー

それぞれの特徴をみていきましょう。

脱炭素アドバイザー ベーシック

脱炭素アドバイザー ベーシックとは、脱炭素アドバイザーの資格の中でも、基礎的な知識があることを証明できる資格です。GXの必要性を説明でき、国内外の動向や主要な政策・技術を理解している人材を目指します。

GX検定においては、GX検定 ベーシックという名称で実施しています。

GX検定 ベーシックは、全てのビジネスパーソンが身につけておくべきカーボンニュートラルの基礎知識を体系化し、俯瞰できるよう構成されています。具体的には、GXの必要性や国内外の動向、主要な政策・技術を説明でき、脱炭素経営・排出量削減に関する企業の現状を正しく理解できるレベルです。

全社員のリテラシー向上を目指す企業や、ゼロからGXに取り組む担当者に取得してもらいたい資格です。GXや脱炭素の知識を基礎から身に付けたい方におすすめ資格となっています。
※弊社のGX検定ベーシックは、2023年10月1日に日本で初めて「環境省認定制度 脱炭素アドバイザー ベーシック」に認定されました。

脱炭素アドバイザー アドバンスト

脱炭素アドバイザー アドバンストとは、脱炭素アドバイザーの資格の中でも、広範なGXの関連知識があることを証明できる資格です。

GX検定においては、対応する内容の検定試験としてGX検定 アドバンストがあります。GX検定 アドバンストは、脱炭素アドバイザー アドバンストへの認定を申請しています。

GX検定 アドバンストは、企業のGX推進に必要なルール・技術などを深く理解できるような構成となっています。世界的な潮流を理解した上で、日本のGXの方針や政策・法制度、ファイナンス、脱炭素を実現する技術など、広範なGX関連知識が問われます。また、GX検定 アドバンストを受験するためには、「GX基礎講座(【Sustana演習編】もしくは【e-dash演習編】の2つのうちいずれか)」の受講が必須です。

受験対象者は、GX推進・サステナビリティ部門の担当者や、自社の排出削減を進める生産/調達部門の責任者等、企業のGX推進に関わる可能性がある広範囲の方々におすすめです。もちろん、GXや脱炭素の知見をより深めたい方にもおすすめな検定となっております。

脱炭素アドバイザー シニアアドバイザー

脱炭素シニアアドバイザーとは、脱炭素アドバイザーの資格の中でもっとも難易度が高く、高度な知識やスキルが求められる資格です。企業のGXに対して、プロジェクトの主導や包括的なアドバイスができる人材を目指します。

GX検定においては、対応する内容の検定試験として、GX検定 スペシャリストという名称で実施が予定されています。

脱炭素アドバイザー資格の試験概要

脱炭素アドバイザー資格の試験概要は、以下の通りです。ここでは、GX検定のGX検定 ベーシックGX検定 アドバンストの試験概要を紹介します。GX検定 スペシャリストは2024年に実施予定となっており、現時点で詳細は未定です。

<GX検定 ベーシック>

名称 GX検定 ベーシック
対象者 ビジネスパーソン全般 (受験資格制限無し)
受験時期 偶数月実施予定
実施形式 知識問題(多肢選択式・50問程度)/ オンライン実施(自宅受験)
試験時間 45分
出題範囲 シラバスより出題
受験費用 5,500円(税込)

<GX検定 アドバンスト>

名称 GX検定 アドバンスト
対象者 企業のGX推進に関わる可能性がある方
受験時期 3か月に一度実施予定
実施形式 知識問題(多肢選択式・100問程度)/ オンライン実施(自宅受験)
試験時間 90分
出題範囲 シラバスより出題
受験費用 11,000円(税込)

脱炭素アドバイザー資格の難易度

脱炭素アドバイザーの資格の難易度は、非常に高いです。ただし、現時点で受験者数や合格者数、合格率は発表されていないため、難易度を具体的な数字で示すことが難しいです。

そのため、出題範囲や問題例をもとに難易度について紹介していきます。まず、GX検定 ベーシックの出題範囲は以下の通りです。

<GX検定 ベーシックの出題範囲>

テーマ 詳細
脱炭素化の背景 カーボンニュートラルとは何か、注目される理由、基礎用語
国際会議・組織 国連気候変動枠組み条約 (UNFCCC)、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)、持続可能な開発目標(SDGs)
日本の動向 日本政府の動向、日本国内の民間の動向、気候関連財務情報開示の動き
世界の動向 世界の動向概観、主要国の動向、民間の動向
産業界への影響 CO2 排出量が多い部門、影響が大きい業界、CO2 排出量の開示、ファイナンスへの影響
政策・技術評価 技術、経済的政策、脱炭素化促進のための国・自治体の政策、課題

ベーシックといえど、幅広いテーマからかなり詳しい内容が問われます。より具体的なカリキュラムは下記から確認可能です。

GX検定 ベーシック 出題範囲(シラバス)

加えて、GX検定 ベーシックの例題を2つ紹介します。

COP21にて採択されたパリ協定に関する説明として、最も不適切なものを1つ選べ。
  1. 米国は、2020年にパリ協定を脱退したが、その後復帰している。
  2. パリ協定では、世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保つという長期目標が設定された。
  3. パリ協定では、参加する国々が温室効果ガスの削減目標の提出と目標達成の義務を負うことになっている。
  4. パリ協定では、先進国だけでなく、途上国も温室効果ガスを削減するために行動すべきという方針が示された。
地球温暖化対策推進法に関する説明として、最も不適切なものを1つ選べ。
  1. 地球温暖化対策推進法は、京都議定書が策定された翌年の 1998 年に公布された。
  2. 地球温暖化対策推進法は、温暖化防止・温室効果ガスの排出抑制、脱炭素社会の実現に向けて策定された法律である。
  3. 地球温暖化対策推進法では、エネルギーを使用するすべての事業者に努力義務を課している。
  4. 地球温暖化対策推進法では、対象事業者に対して、毎年の温室効果ガス算定排出量の報告を義務付けている。

引用元:問題例|スキルアップGreen GX検定 ベーシック

このように、一つのキーワードに対して細かい情報が問われます。出題範囲や例題から、脱炭素に関する幅広いテーマとテーマに関する詳細な知識が求められることがわかります。

また、GX検定 ベーシックの試験時間45分の中で、多肢選択式の50問程度を解答しなければなりません。単純計算で、1問に対して1分以内で解答しなければならず、制限時間の観点からも難易度が高いといえます。

脱炭素アドバイザー資格を取得するメリット

脱炭素アドバイザー資格を取得するメリットは、次の3つです。

  • 脱炭素分野に関して幅広い知識を保有していることを証明できる
  • 環境省認定 脱炭素アドバイザーとして活動できる
  • 自社のビジネスに活用できる

それぞれのメリットについて説明します。

脱炭素分野に関して幅広い知識を保有していることを証明できる

脱炭素アドバイザーの資格を取得するメリットは、脱炭素分野に関して幅広い知識を保有していることの証明となることです。

GX検定では、幅広いテーマから出題されます。例えば、脱炭素化の背景から、企業の脱炭素化に向けた取り組み事例まで、アドバイザーとして求められる知識が全て網羅されています。

そのため、脱炭素アドバイザーの資格を取得することで、企業のGX担当者としての権威性を高められたり、社外にアドバイスをする際に信頼してもらえたりします。

環境省認定の脱炭素アドバイザーとして活動できる

脱炭素アドバイザーの資格を取得すると、環境省公認の脱炭素アドバイザーとして活躍できる点も大きなメリットです。

脱炭素アドバイザーの資格を取得すると、「環境省認定制度脱炭素アドバイザー」を名乗れます。ちなみに、「環境省認定制度脱炭素アドバイザー」は、名刺などに記載することが認められています。

名刺に記載すれば資格を取得したエビデンスとなり、脱炭素に関するアドバイスをする際は、相手も信頼して提案を聞いてくれるでしょう。

自社のビジネスに活用できる

脱炭素アドバイザー取得に向けて得た知識は、当然自社のビジネスにも活用可能です。

例えば、脱炭素に関する政策・制度への理解、他企業の取り組み事例は非常に参考となる知識です。自社に脱炭素に関する専門知識を持つ社員がいるだけで、脱炭素を推進するスピードは早まります。

また、社員の立場からお伝えすると、GX関連事業への異動を検討している社員であれば、GX検定を取得することは大きなアピールとなるでしょう。

脱炭素アドバイザー資格に合格するまでのステップ

ここでは、脱炭素アドバイザー資格に合格するためのステップを紹介します。

ステップ1.書籍やセミナーで脱炭素の基礎知識を身につける

まずは、書籍やセミナーで脱炭素の基礎知識を身につけましょう。

いきなり指定講座を受講することもできますが、基礎知識があるのとないのとでは、情報の吸収量が大きく異なります。最短で合格を目指すのであれば、まずは基礎知識を身につけることがポイントです。

また、脱炭素に関する一定の知識を持っていたとしても、脱炭素アドバイザー資格の出題範囲は幅広いです。そのため、足りない分野のみで構わないので、その分野の基礎知識を勉強しましょう。

脱炭素の基礎知識を身につけるのにおすすめの書籍・セミナーは、以下の3つです。

ステップ2.推奨・指定講座を受講する

基礎知識を身につけたら、次は推奨・指定講座を受講しましょう。スキルアップGreenが実施するGX検定 ベーシックの場合は、カーボンニュートラル入門講座【無料トライアルあり】の受講が推奨されています。またGX検定 アドバンストの受験においては、GX基礎講座(【Sustana演習編】もしくは【e-dash演習編】)の受講が必須です。

推奨・指定講座を受講することで、GXに関する知識を体系的に学べたり、最新トレンドの情報を得られたりします。また、各章ごとに小テストが用意されており、すぐに理解度を確認できるのが特徴です。

GX基礎講座の概要は、以下の通りです。

講座名 GX基礎講座(【Sustana演習編】もしくは【e-dash演習編】
スキルレベル カーボンニュートラルに関する基礎知識(カーボンニュートラル基礎講座 修了相当)
受講料 44,000円/1名(税込)
受講形式 eラーニング形式
講座時間 動画講義 12時間 + 演習 1時間(排出量算定の概要・データ整備と排出量算定の実践)
講座に含まれるもの 動画講義
演習 講座資料
動画の視聴期間 動画共有日から1年間

ステップ3.GX検定を受験する

ここまで勉強を終えたら、GX検定を受験しましょう。試験は自宅でオンラインで受験する方式で、受験期間内であればいつ受験しても構いません。

GX検定 ベーシックの試験時間は45分、GX検定 アドバンスの試験時間は90分です。どちらも1問にかけられる時間は少ないため、わからない問題が出てきたらあとで解答することをおすすめします。

また、試験の合否については、試験の2〜3週間以内にメールで連絡がきます。

脱炭素アドバイザーの認定を受ける方法

脱炭素アドバイザーの認定は、脱炭素アドバイザーの資格を取得すると受けられます。スキルアップGreenのGX検定においては、GX検定 ベーシックが2023年10月1日に「環境省認定制度 脱炭素アドバイザー ベーシック」に認定されました。

仮に環境省の脱炭素アドバイザー認定前に合格した場合でも、後から申請すれば認定されます。

脱炭素アドバイザーに関するよくある質問

最後に、脱炭素アドバイザーに関するよくある質問とその回答を紹介します。

脱炭素アドバイザー資格と炭素会計アドバイザー資格との違いは何ですか?

炭素会計アドバイザー資格実施の目的は、CO2排出量の測定手法を国内で普及させること、および民間企業などによる排出量を財務情報へ正確に反映させることです。

一方で脱炭素アドバイザーは、企業に対し、気候変動対応の必要性を説明でき、脱炭素経営・排出量削減に関する企業からの相談内容を正しく把握できる人材として活躍が期待されています。

脱炭素アドバイザーは国家資格ですか?

脱炭素アドバイザーは国家資格ではありません。ただし、国が認定している資格であり、その信頼性は担保されています。

認定資格を取得した後、定期的な更新は必要ですか?

環境省が資格制度に認定を付与する際の要件にはなっていません。認定資格によっては、資格取得者に定期的な資格の更新を求める場合があります。

まとめ

この記事では、脱炭素アドバイザーについて網羅的に紹介しました。脱炭素アドバイザーとは、国が認定している資格制度であり、資格を取得することでさまざまなメリットがあります。

企業のGX推進担当者の方や中小企業にアドバイスをする立場の方は、資格の取得がおすすめです。興味がある方は、GX検定のページもぜひチェックしてみてください。

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