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営業職にも求められるGX対応力|カーボンニュートラル時代の知識と資格で差をつける方法

ここ数年のビジネス環境、特にBtoBの営業現場では、これまでの製品知識や交渉力に加え、新たな能力が求められています。それが、GX(グリーントランスフォーメーション)への対応力です。脱炭素への動きが世界的に加速する中、環境に関する知識を深め、顧客のGX推進に貢献できる提案力が不可欠となりつつあります。
本記事では、なぜ今営業職にGXへの対応力が求められるのか、押さえておくべき重要用語、効率的な学習方法、そしてスキルアップに役立つ具体的な資格まで、網羅的に解説します。この記事を読めば、カーボンニュートラル時代に顧客から真に信頼され、成果を出し続ける営業パーソンへと進化するための道筋が見えるはずです。

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営業職にもGXへの対応力が求められている理由

「スコープ3の排出量データを開示していただけますか?」
もし、顧客からこう問われたとき、あなたは自信を持って答えられるでしょうか。GXへの理解は、いまや営業現場での“専門性”として求められつつあります。
顧客の信頼をつかむか、それとも見送りの理由になるか。その分かれ目に、GXへの対応力は確かに存在しています。環境意識の高まりとともに、ビジネスの現場ではGXという言葉が飛び交い、これまであまり馴染みのなかった専門用語が、突如として重要な意味を持つようになっています。
なぜ、これほどまでに営業職にGX対応力が求められるようになったのでしょうか。その背景には、国内外の大きな環境規制の潮流と、サプライチェーン全体での変革の必要性があります。

サプライチェーン全体での脱炭素化と国際的な情報開示圧力

近年、大手企業を中心に、自社だけでなくサプライチェーン上での温室効果ガス排出量削減に取り組む動きが加速しています。これは、投資家や消費者からの環境配慮への要請に応え、自社の企業価値を向上させるためであり、調達先にも温室効果ガス排出量データの提供を求めるのが当たり前になりました。

特に注目すべきは、国際的な情報開示の要求です。例えば、EUでは『CSRD (企業サステナビリティ報告指令)』によって、一定規模以上の企業に対してサステナビリティ情報の開示が義務付けられており、その影響はサプライチェーン上の取引先にも徐々にひろがりつつあります。CSRDのような国際的なルールは、国境を越えて事業を展開する企業、そしてそのサプライヤーにも大きな影響を与えています。

このような背景から、顧客企業のサステナビリティ担当者や調達担当者は、取引先選定の際に環境への取り組みや排出量データを重要な評価軸の一つとしています。

参考:Corporate sustainability reporting(欧州委員会)

GXへの対応力は「提案の差別化要因」であり、営業成績を左右する

GXに関する知識や対応力は、営業活動において決定的な提案の差別化要因となり得ます。例えば、複数の企業が同様の価格や納期で製品・サービスを提案している場合を考えてみましょう。価格や納期が横並びの商材でも、LCAに基づく環境負荷の可視化と削減効果を明確に示すことができれば、 顧客からの信頼は格段に高まります。

逆に、GXに関する知識が不足していると、以下のようなリスクが生じます。

  • 信用の失墜: 顧客からの専門的な質問に答えられない、あるいは誤った情報を提供してしまうことで、担当者個人だけでなく、企業全体の信用を損なう可能性があります。
  • 失注リスクの増大: 環境性能に関する説明が不十分であったり、競合他社がより具体的な環境価値を提示できなかったりした場合、案件を失うリスクが高まります。
  • 社内是正コストの発生: 誤った情報提供や不適切な対応が原因で問題が発生した場合、社内で調査や是正措置が必要となり、余計な時間とコストがかかることがあります。

価格や品質だけでなく、環境貢献という新たな評価軸を確実に把握し、その価値を顧客に提供できる営業こそが、選ばれる存在となるでしょう。

営業職が押さえておくべきGX関連の重要用語5選

GX対応力を高める第一歩は、関連する重要用語を正しく理解することです。これらの用語を即答できるレベルで理解しておくことが、商談初期の信頼関係構築において極めて重要です。

1.GX(グリーントランスフォーメーション)

GXとは、「経済と環境を同時に変革し、成長と脱炭素の両立を図る国家・企業レベルの戦略」です。単に環境問題に取り組むだけでなく、それを新たな成長の機会と捉え、産業構造や社会システム全体の変革を促すものです。
営業担当者にとっては、顧客企業がどのようなGX戦略を描いているのか、どのような分野に投資しようとしているのかを把握することが重要です。また、GXに関連する行政の支援策や税制優遇制度も多数存在するため、これらの情報を顧客に提供することで、より付加価値の高い提案が可能になります。 例えば、「この製品を導入することで、貴社のGX戦略における〇〇という目標達成に貢献できますし、現在利用可能な補助金制度もあります」といった具体的な提案ができるようになります。

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2.スコープ1・2・3(Scope 1, 2, 3)

企業が排出する温室効果ガスの算定・報告における国際的な基準「GHGプロトコル」で定められた区分です。詳しく知りたい方は、「GHGプロトコルとは?基準やScope1.2.3の算定方法を解説」もご覧ください。

  • スコープ1: 事業者自らが所有・管理する排出源からの直接的な排出(例:自社工場での燃料燃焼、社有車の利用)。
  • スコープ2: 他社から供給された電気、熱、蒸気の使用に伴う間接的な排出。
  • スコープ3: スコープ1、2以外の間接排出で、原材料の調達から製品の使用・廃棄までのサプライチェーン全体における排出を指します。多くの産業において排出量の大部分を占めるスコープ3の削減が不可欠であり、営業担当者には自社製品・サービスが顧客のスコープ3削減にどう貢献できるか具体的に説明する能力が求められます。

参考:サプライチェーン排出量全般(環境省グリーン・バリューチェーンプラットフォーム)

3.ESG調達 / グリーン調達

企業が製品やサービスを調達する際に、価格や品質だけでなく、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)への取り組みを評価基準に加えることです。国内でも、大手企業を中心にサプライヤーに対して独自の「グリーン調達基準」を設けたり、アンケート調査を実施したりすることで環境への取り組みを評価し、取引先選定の基準とする動きが定着しています。そのため、自社製品の環境性能を具体的なデータや認証取得状況をもって示すことが必須タスクとなっています。

参考:グリーン購入法について(環境省)

4.LCA(ライフサイクルアセスメント)

原料採掘から廃棄・リサイクルまで、製品の一生涯(ライフサイクル)における環境負荷を定量的に評価する手法です。顧客が自社のサプライチェーン全体の環境負荷を把握・報告するために、LCAに基づいたデータを求めるケースが増えています。
詳しく知りたい方は、「ライフサイクルコスト(LCC)とは?低減ポイントやランニングコストとの違いも解説」もご覧ください。

5.カーボンフットプリント(CFP)

LCAの一側面であり、製品やサービスの一生涯で排出される温室効果ガスの総量をCO2量に換算して可視化した指標です。サプライチェーンのスコープ3算定、エコラベル、カタログ提示など活用シーンが拡大しています。

忙しい営業職でもGX対応力を高められる学び方とは?

多忙な営業職が効率的に知識を身につけるには、戦略的な学習アプローチが必要です。特にGXのような広範なテーマでは、「資格取得」を目標に設定することが有効な近道となり得ます。

専門書や研修よりも、まずは「資格」から学ぶ理由

資格取得を目標にすることには、以下の明確なメリットがあります。

  • 体系的に学べる: 資格のシラバス(出題範囲)に沿って学ぶことで、知識の抜け漏れを防ぎ、効率的に全体像を把握できます。
  • 短期で成果を可視化できる: 「来月の商談には、GX検定の知識を活かした提案を盛り込みたい。」そんな目標を立てた時、試験という明確なゴールと、合格という結果は、行動の原動力になります。合格証を手にする頃には、GXに関する基本用語を自然に使いこなせるようになっている自分に気づくでしょう。
  • 説得力のある肩書きが得られる: 資格名は名刺やメールの署名に記載でき、初対面の顧客からも信頼を得やすくなります。

無理なく学べるスタイルを活かそう

近年の多様な学習スタイルを活用すれば、多忙な中でも学習は可能です。

  • オンライン学習: スマートフォンやタブレットでアクセスできる教材が増え、移動中や休憩中などの「スキマ時間」を有効活用できます。
  • マイクロラーニング: 学習内容を数分〜十数分の短い単元に区切って学ぶ手法で、無理なく継続できます。
  • 週末や休日の集中学習: 平日はインプットに徹し、週末に演習問題に取り組むなど、メリハリをつけた学習が可能です。
  • 仲間との学習: 社内の同僚と勉強会を開く「ピアラーニング(仲間同士の学び合い)」も、理解を深め、モチベーション維持にも繋がります。

重要なのは、完璧を目指すのではなく、少しずつでも継続することです。

営業職のスキルアップに役立つGX系資格3選|特徴と選び方

具体的にどのような資格を選べば良いのでしょうか。GX関連資格では、環境省が設けている「脱炭素アドバイザー資格認定制度」の対象資格から選ぶと良いでしょう。ここでは、営業職の基礎知識習得という観点から、特に注目度の高い3つの資格をご紹介します。

項目 GX検定 ベーシック サステナビリティ検定 (サステナビリティ・オフィサー) カーボンニュートラル・アドバイザー (ベーシック)
主催者 株式会社スキルアップNext 一般社団法人金融財政事情研究会 一般社団法人日本カーボンニュートラル協会
特徴
  • GX推進に不可欠な基礎知識を証明
  • GXスキル標準レベル1に対応
  • あらゆる業界のビジネスパーソン向け
  • SDGsやESGに加え、脱炭素、サステナブルファイナンスも含む幅広い知識を厳選
  • 企業活動や顧客への助言に使える実務的知識
  • 主に中小企業の脱炭素活動支援を重視
  • 現場で実践できる内容(脱炭素デザインシート作成等)が中心
受験時期 年複数回実施 通年実施 年複数回実施
受験費用(税込) 6,600円 6,050円 6,600円(教材費等込)
試験方式 IBT(インターネット経由) 四肢択一 50問(60分) CBT(テストセンター) 四肢択一 50問(100分) オンライン 択一式(60分)

(注:試験方式・時間、受験料等は変更される可能性があるため、必ず各資格の公式サイトで最新情報をご確認ください。)

選び方のコツ

  • まずはGXの基礎知識を固めたい場合: 「GX検定 ベーシック」がおすすめです。GXの全体像を体系的に学べます。
  • 幅広い視点から総合的な提案力を高めたい場合: 「サステナビリティ検定(サステナビリティ・オフィサー)」が適しています。SDGsやESG、金融まで含めた知識が身につきます。
  • 中小企業への実践的な支援に特化したい場合: 「カーボンニュートラル・アドバイザー」が良いでしょう。現場で使える具体的な知識やツールを学べます。

ご自身の目的を明確にし、まずは短期集中で一つの資格取得を目指すことが、モチベーション維持の鍵となります。

まとめ|GX対応で信頼される営業職になるために今できること

これまで見てきたように、サプライチェーン全体での脱炭素化という大きな潮流は、顧客の調達基準そのものを変えました。その結果、営業職には、従来の製品機能や価格の訴求だけでは応えられない、新たな役割が求められています。具体的には、スコープ3排出量やLCAといった専門用語を理解し、顧客の環境課題に対して具体的な解決策を提示する能力です。これこそが、本記事で繰り返し述べてきた「数字で環境価値を語れる人」への進化に他なりません。この変革を実現する上で不可欠なのがGX対応力であり、これはもはや一部の専門家のための特殊スキルではなく、全ての営業担当者が備えるべき必須スキルと言えるでしょう。

今こそ、「知っている営業」から「提案できる営業」へ

この記事を通じて、営業職にとってGX対応力がいかに重要であるか、そしてその力を身につけるための具体的な方法をご理解いただけたかと思います。大切なのは、知識をインプットするだけでなく、それを実際の営業活動でアウトプットしていくことです。

このページを閉じたあと、まずは1つだけアクションを起こしてみてください。

  1. 資格取得を軸にした学習計画を立てる: 本記事で紹介したようなGX関連資格の取得を具体的な目標に設定し、学習計画を立ててみましょう。
  2. 学んだ知識を即・商談で使う習慣をつくる: 新しく学んだ用語や知識は、積極的に顧客との会話や提案資料に取り入れてみましょう。

「知っている営業」から「提案できる営業」へ。次の商談で、さっそくGXのキーワードを自信を持って語り、顧客と共通言語で対話してみてください。その瞬間から、あなたの営業スタイルは変わり始めます。

迷ったら「GX検定 ベーシック」の学習から始めてみよう

本記事で解説したGXの知識習得を、どこから始めたら良いか迷ったら、まずは「GX検定 ベーシック」の受験をおすすめします。体系的に学べるだけでなく、資格取得は学習のモチベーション維持にも繋がり、顧客からの信頼を得る第一歩となるでしょう。

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GXメディア編集部
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GX人材育成サービス「スキルアップGreen」が運営するオウンドメディア、「GX DiG」の編集部です。GXやカーボンニュートラルに関する基礎知識やGX推進に役立つ人材育成に関する情報を日々発信していきます。今後もコンテンツはどんどん追加していきますので、GX関連の学びを深堀り(DiG)していきましょう。