GX検定は、GX推進に欠かせない体系的な基礎知識を証明する、全ビジネスパーソン向けの検定試験。業種や職種を限定せず、GXに関連する広範な範囲のリテラシーを問う検定となります。
GX検定アドバンストに合格し、「GX検定スペシャリスト」の受験を検討している方も多いのではないでしょうか?
今回は、サプライチェーン全体の排出量算定(Scope3)や製品単位の算定(CFP)、国際的な情報開示など、極めて高度な実務内容にフォーカスした「GX検定スペシャリスト」の概要やアドバンストとの違いを解説していきます。
1. GX検定スペシャリストの概要
「GX検定スペシャリスト」は、GX(グリーントランスフォーメーション)の概念の中で、特にサプライチェーン全体の排出量(Scope3)の算定・削減や、製品ごとのカーボンフットプリント(CFP)、TCFD等の国際基準に基づいた情報開示に焦点を当てた上級レベルの試験です。
「GX検定スペシャリスト」の試験概要は以下の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申込方法 | 年間複数回実施(開催期間中は随時申し込み受け付け中) |
| 実施形式 | 知識問題(多肢選択式・計算問題あり) / オンライン実施(自宅受験) |
| 試験時間 | 90分 |
| 受験の対象者 | 「カーボンニュートラル実践講座(上級編)」の受講が必須となります。 |
【特におすすめな対象者】
- 企業のGX推進・サステナビリティ部門の統括・リーダー
- サプライチェーン管理・調達部門の担当者
- TCFD対応や統合報告書作成を行うIR・経営企画担当者
- 高度な脱炭素経営支援を行う金融機関・コンサルタント
この試験は、自社の排出量算定(Scope1, 2)をマスターしたアドバンストレベルを経て、さらにサプライチェーン全体や国際的な開示基準への対応が求められるプロフェッショナル向けの試験となっています。
※GX検定スペシャリストの受験資格として、「カーボンニュートラル実践講座(上級編)」の受講・修了が必須となります。
出題範囲と試験時間
試験時間は90分間で、以下のシラバス(講座内容)が試験の出題範囲です。
問題数には複雑な計算問題も含まれるため、アドバンスト以上に時間配分と正確な理解が重要です。
Scope3の算定やLCA(ライフサイクルアセスメント)、削減貢献量といった専門的な知識が問われます。※GX検定アドバンストの知識レベルがあることを前提としています。
【出題範囲(シラバス抜粋)】
| 章 | 大項目 | 中項目 |
|---|---|---|
| 1 | 脱炭素経営の実践 | 脱炭素経営の実務 |
| 脱炭素経営の現状 | ||
| Scope 排出量の基本 | ||
| 2 | サプライチェーン排出量の算定 ‧削減⼿法 | 算定における基本事項 |
| Scope 、 排出量の算定 | ||
| Scope 排出量の算定 | ||
| Scope 、 排出量の削減⼿法 | ||
| Scope 排出量の削減⼿法 | ||
| 3 | 情報開⽰の⼿法 | サステナビリティ情報開⽰の必要性 |
| 環境報告ガイドラインの概要 | ||
| TCFD開⽰の⼿法 | ||
| CDP の概要 | ||
| 開⽰に対する第三者保証の概要 | ||
| 削減貢献量の算定‧開⽰ | ||
| 4 | 算定における主な実務 | 算定範囲の決定⽅針 |
| 排出量算定の実施 | ||
| 削減⽬標‧計画の策定 | ||
| 削減対策の実⾏ | ||
| サプライヤーエンゲージメントの実施 | ||
| ステークホルダーからの要求事項 | ||
| 5 | Scope における主要産業別の 国内外動向 | 全般的な動向 |
| ⾦融業界 | ||
| 建設業界 | ||
| 化学業界 | ||
| ⽣活産業業界 | ||
| 通信業界 | ||
| 国内外企業の先⾏事例紹介 |
学習のポイント
具体的には、以下のポイントを押さえる必要があります。
- Scope3(全15カテゴリ)の算定ロジックを理解している
- サプライチェーン排出量を算定し、削減手法を提示・実行できる
- TCFDやIFRS、TNFDといった国際的な開示フレームワークに対応した情報開示ができる
- 削減貢献量など、自社の削減だけでなく社会全体の削減への貢献を定量化できる
2. GX検定アドバンストとの違い
GX検定アドバンストとの違いについて、比較表を用いて解説します。
| 項目 | GX検定 アドバンスト | GX検定 スペシャリスト |
|---|---|---|
| 認定資格 | 環境省認定「脱炭素アドバイザー アドバンスト」 | 環境省認定「脱炭素シニアアドバイザー」 |
| 主な対象者 | GX推進リーダー・実務担当者、経営企画部門、IR担当者など | GX推進の管掌役員・リーダー・実務担当者、経営企画部門、IR担当者など |
| 難易度 | GXSSレベル2(GX推進スキル標準)相当 | GXSSレベル3(GX推進スキル標準)相当 |
| 求められる知識・スキル | GX推進において上位の指導者のもと、要求された関連業務を担当する プロフェッショナルとなるために必要な基本的知識・技能を有する |
脱炭素に関する包括的なアドバイス(温室効果ガス排出量計測・削減手法の例示、SBT目標設定支援、TCFD開示支援)ができる |
| 受験資格 | カーボンニュートラル実践講座(中級編)受講 | カーボンニュートラル実践講座(上級編)受講 |
| 資格で問われる主な内容 | 脱炭素経営の広がり、気候関連リスク・機会の把握、サプライチェーン排出量の概要、Scope1, Scope2の算定方法、排出削減目標の設定、排出削減計画の策定、削減対策の実行 | 脱炭素経営の実践、サプライチェーン排出量(Scope3を含む)の算定・削減手法、情報開示の手法、算定における主な実務、Scope 3における主要産業別の国内外動向 |
| 合格者数 | 2025#2時点で958名 | 開催なし |
GX検定アドバンストが「自社の排出量管理と基礎的な削減」に重点を置いているのに対し、スペシャリスト試験では「サプライチェーン全体を巻き込んだ管理」「投資家評価に耐えうる情報開示」「製品レベルでの競争力強化」といった、より経営戦略に近い高度な実践力が求められます。
難易度については、GX検定スペシャリストはGXスキル標準(GXSS)のレベル3相当であり、自律的に業務を遂行・指導できるレベルと定義されています。
GX検定スペシャリストを取得することでの変化
アドバンストからスペシャリストへステップアップすることで、業務における視座や対応力がどう変わるか解説します。
GHG算定・開示業務担当者の場合
アドバンストでは自社の工場やオフィスの排出量を計算していましたが、スペシャリストを取得することで、原材料の調達から製品の使用・廃棄まで(Scope3)を含めた全ライフサイクルの計算が可能になります。また、算定結果をSBT申請やCDP回答、統合報告書への記載といった対外的な評価獲得に直結させることができるようになります。
経営企画・IR担当者の場合
単なる数値管理だけでなく、TCFDやIFRS等の国際基準に基づいた「気候変動リスク・機会の財務インパクト評価」ができるようになります。これにより、投資家や金融機関に対して、脱炭素経営が企業価値向上につながることをロジカルに説明できるようになります。
3. GX検定スペシャリストに合格するメリット
GX検定スペシャリストに合格することのメリットを4点ご説明します。
- 環境省認定資格「脱炭素シニアアドバイザー」を取得できる
- Scope3・CFP算定という市場価値の高いスキルを証明できる
- TCFD/TNFDなど最新の開示トレンドに対応できる
- 社内外で「GXのプロフェッショナル」としてリーダーシップを発揮できる
環境省認定制度「脱炭素シニアアドバイザー」を名乗ることができる
GX検定スペシャリストは、環境省認定制度「脱炭素シニアアドバイザー」に認定されています。
これは、「脱炭素経営に関する高度な専門知識を有し、顧客や自社の戦略策定・実行を主導できる人材」として国から認められたことと同義であり、非常に高い信頼性を獲得できます。
>>>「脱炭素アドバイザーとは|種類や資格の概要、難易度、メリットについて一挙紹介」
Scope3・CFP算定という市場価値の高いスキルを証明できる
現在、多くの企業がScope3の算定や製品ごとのCFP算定に課題を抱えています。しかし、これを正確に行える人材は極めて不足しています。スペシャリスト合格は、この希少で需要の高いスキルを有している証明となります。
4. GX検定スペシャリストの勉強方法
続いて、GX検定スペシャリストの学習方法について説明します。
カーボンニュートラル実践講座(上級編)を視聴する
スペシャリスト試験は「カーボンニュートラル実践講座(上級編)」の受講が必須要件です。本講座は試験内容を完全に網羅しており、この講座の理解度が合否を分けます。
【講座の活用フロー】
-
動画講義で高度な理論をインプット
- Scope3のカテゴリ分類や、原単位の選定方法、LCAの境界設定など、実務で迷いやすいポイントを重点的に視聴します。
- TCFD等の開示項目については、実際の開示事例をイメージしながら学習します。
-
演習で複雑な計算に慣れる
- 上級編の演習では、Scope3の各カテゴリの計算やCFPの積み上げ計算など、複雑な計算問題が含まれます。
- 「どのデータを使い、どの排出原単位を掛けるか」という判断プロセスを演習を通じて身につけましょう。
-
確認テストで理解度をチェック
- 試験形式に近い問題を解き、解説を読み込むことで、知識の穴を埋めていきます。
GX検定スペシャリスト(および上級編講座)では、単なる知識だけでなく、「なぜその算定方法を選ぶのか」「その結果をどう経営戦略に活かすか」という思考プロセスが重要になります。
まとめ
本記事ではGX検定スペシャリストについて解説しました。
GX検定スペシャリストは、GX推進の最前線で活躍するための最高峰の資格です。
Scope3やCFP、国際的な情報開示といった、企業が今まさに直面している高度な課題解決能力を身につけることができます。
「脱炭素シニアアドバイザー」として、自社やクライアントの脱炭素経営をリードする存在になるために、ぜひGX検定スペシャリストへの挑戦を検討してみてください。


