「脱炭素ってうちの会社には関係ないんじゃないの?」→ 製造業界の他社が取り組んでいる事例を見てみましょう!

はじめに

「脱炭素やサステナブル経営ってよく話は聞くけど、大企業が行うものであって、中小企業には関係ないでしょ」と考えている方。周りの人も同じように考えているからこそ、実は今大きなチャンスが広がっています。製造業を取り巻くGXの状況を見ていきましょう。

 

脱炭素の取り組みを先導させる人材が必要!

企業における脱炭素への取り組みは国際社会の喫緊の課題であり、日本政府も全面的にそれに取り組んでいます。


企業が新しく脱炭素に関する取り組みを推進する際にはプロジェクトを先導する役割が必要になります。GX人材の求人情報に関するデータを見てみましょう。



リクルートエージェントにおけるGX求人と転職者の推移 (出典:株式会社リクルート 2023年8月30日 プレスリリース


同社の調べでは、過去6年間でのカーボンニュートラルやサステナビリティ、脱炭素に関わる「グリーン求人」は5.87倍に増加していて、2020年以降に急上昇しています。


この需要の高まりに対して供給が追いついていない状況で「グリーン求人」への転職者は3.09倍にとどまっています。


まだまだ日本においてはGX人材が充足していないことがわかります。

 

脱炭素経営を疎かにした場合に起こりうることは?

企業として脱炭素化を疎かにした場合どのようなことが問題になるのか見ていきましょう。


・法的規制問題


世界中で炭素排出量を削減するための規制が厳しくなっています。これにより、罰金や訴訟、業務停止といった問題が生じ、最悪の場合、会社としての存続が困難になる可能性があります。


さらに、企業のCO2排出量に対する炭素税は世界的に上昇傾向にあります。日本は世界的に見ても税率が低いですが、世界の動向に追従して税率が高くなる可能性は非常に高いです。そのため、早期の対策が必要となり、それを怠ると財務的リスクが高まると言えます。



出典:環境省『諸外国における炭素税等の導入状況』


・競争力低下


消費者や投資家がサステナビリティに対する関心を強めている昨今、脱炭素経営を見過ごしてしまうと、企業の評判や市場シェアに影響が出るかもしれません。既に一部の企業は、サステナビリティを前面に押し出して企業ブランド力を強化する取り組みを始めています。企業イメージに大きな影響を与える重要なポイントなので、これを理解していくことが大切です。


・人員確保が難しくなる


日本の製造業では、働き手の減少問題が深刻化し、若い世代は企業の環境への取り組みを重視しています。そのため、優れた人材を確保するためには、脱炭素経営を推進し、社会的責任を果たす企業イメージの構築が必要です。


企業がSDGsに取り組んでいることは、就職活動での企業選択の重要な要素となり、その結果、将来性のある企業の選択、社会的役割の強調、企業イメージの向上といったプラスの影響を与えることがわかります。


出典:23卒就活生の73.1%が「SDGs」について認知、「企業選びで重視」は22卒より7.2ポイントUP

 

製造業における脱炭素の取り組みの重要性

産業部門におけるCO2排出量も約2割を占めています。製造業界では、製造プロセスにおいてどうしても大量のエネルギーを使用するため、それらのCO2の削減が必要です。



出典:資源エネルギー庁「1. 2050年カーボンニュートラル宣言と現状の評価」(2019)


脱炭素への取り組みは、これらの問題に対抗する手段でありますし、新たなビジネスモデルや技術革新を生み出す可能性があります。


このような観点から、サプライチェーンを含む製造業の脱炭素への取り組みは、未来への投資として重要になります。

 

何から始めたらいいの?

将来的に様々なリスクがあるため、脱炭素経営を始めることが重要ですが、何から始めるべきかが分からないかもしれません。特に製造業では、多くのアプローチが可能です。

 

製造業企業の他社事例を見てみよう!

脱炭素経営を先駆的に行っている製造業企業の事例を参考にして、自社で何ができるかヒントを得ましょう!

食品製造業

・キューピー


キューピーでは、グループ全体での製造工程の効率向上、省エネ設備の導入、再エネ活用を進めています。


キューピーの神戸工場とキタカミデリカでは、「オンサイトPPAモデル」を用いて太陽光発電を運用しています。また、2022年12月からは関西電力からの再エネ電力供給と、三井物産からの供給燃料によるCO2相当のJ-クレジット購入により、実質的に再エネ100%への切り替えを実施しました。


出典:キューピー「気候変動への対応」


渋谷オフィスでは、ビル全体を二重ガラスで覆い、高い断熱性を確保しました。また、高効率空調機やLED照明を使用した省エネ設備の導入など、徹底した設計により、建築総合環境評価システム「CASBEE」の総合評価Aランクに認定されました。


出典:キューピー「気候変動への対応」


・アサヒビール


アサヒビールは、「責任ある飲酒」「環境」「食の安全・安心」「コミュニティ」「人」の5つの柱を掲げ、SDGsの達成を後押しする取り組みを行っています。


環境に対する取り組みとしては、工場で使用する電力を再エネに切り替え、CO2捕集設備を利用した循環利用、物流によるCO2削減、パッケージの軽量化などを実施しています。これらの情報やデータはホームページでわかりやすくまとめて公開しています。


出典:アサヒビール「環境にも、使う人にも、優しい商品を」 ラベルレス商品の販売


出典:「自然の力を商品づくりに」 再生可能エネルギーの活用

↓関連リンク

出典:アサヒビール「アサヒビールのサステナビリティ」

 

家具製造業

・オカムラ


1997年に制定されたグリーン購入法に基づき、製品開発を行いました。同年に「GREEN WAVE(グリーンウェーブ)」という活動を開始し、オカムラ独自の環境基準を策定しました。この基準は、早期に環境に配慮した製品開発に取り組むためのものです。

↓関連リンク

出典:オカムラ 「GREEN WAVE Rode to 2050」


最近では、「Re:birth(リバース)」プロジェクトに取り組み、使用済みの製品を回収・分解し、新しい製品の一部の材料として使用しています。これにより、リサイクルインフラを確立しています。


出典:オカムラ「環境面と機能面に配慮した新しいスタンダードとなるタスクシーティング「Potam(ポータム)」を発売」

 

化学製造業

・花王


花王は2021年5月に「2040年までにカーボンゼロ、2050年までにカーボンネガティブを実現する」と宣言しました。


2009年には「環境宣言」を発表し、環境経営に大きくシフトしました。この結果、すすぎが1回で済む環境負荷の低い洗濯用洗剤「アタックNeo」を発売し、大ヒットしました。さらに、「詰め替え・付け替え」製品の普及と液体の濃縮化により、プラスチック削減に貢献しました。


出典:花王「容器包装における環境配慮」


製品のボトルやプラスチックの回収にも取り組んでいます。しかし、100%の回収は困難であるため、使用したプラスチックの同等量を回収・リサイクルすることで、実質的なゼロを目指しています。

↓関連リンク

出典:花王「ESG活動の基本方針」

 

電子機器製造業

・アップル


Appleは長い間、再生可能エネルギーの調達や太陽光および風力発電所の建設、さらにはサプライヤーへのサポートを積極的に行っています。2023年には、初のカーボンニュートラルなApple Watchを発表しました。製造時には100%再生可能エネルギーを使用し、バンドにはリサイクル素材を採用。飛行機の使用を減らし、パッケージを小型化することで輸送時のエネルギー効率を向上させました。さらに、Apple Watchの充電に使用される予想電力消費量に対して、再生可能エネルギープロジェクトへの投資を行いました。


出典:アップル「環境」

 

これらを踏まえた上で自社にどう落とし込むの?

各製造業種における具体的な取り組み事例も紹介しました。これらの企業はそれぞれ独自の方法でエネルギー消費の削減、再生可能エネルギーの利用、リサイクル活動、省エネ設備の導入などを通じてカーボンニュートラルへの取り組みを行っています。


このような取り組みを自社で行う際にはどうしたらよいのでしょう。


そんなときに脱炭素の向けた取り組みへの適切なアドバイスをできる人材が必要になってきます。


 

「脱炭素アドバイザー」になって取り組みを促進させよう!

環境省が認定した民間資格に「脱炭素アドバイザー」というものがあります。これを取得することで脱炭素に向けた取り組みを適切に指南していくことができることの証明になります。


企業の脱炭素推進には、CO2排出量の算定や具体的な施策の考案と実行が可能な人材が必要となるりますが、実情としてはこの人材が不足していることは冒頭でお話した通りです。


国が主導して資格制度を設けることで、脱炭素に関する専門知識を持つ人材の育成を目指しています。

 

豊富な学習コンテンツが用意されていて短時間で効果的に取得できる「GX検定ベーシック」


「GX検定ベーシック」は先ほどの環境省認定制度の「脱炭素アドバイザー ベーシック」の認定資格なので合格した時から自身が「脱炭素アドバイザー ベーシック」であることを名乗ることが可能になります。


また、「GX検定ベーシック」に完全対応している講座として「GX入門講座」があります。


こちらは、eラーニング形式でどこでも受けることができ、4時間の動画を見ることで効率よくしっかりと学ぶことができます。

 

合格までにかかる時間は?

この「GX検定ベーシック」は、対象となるeラーニング形式の講座を4時間受講し、試験期間中に45分の試験を受けることで取得できます。集中して理解すれば、1日の勉強で合格も可能です。講座を受講せず、書籍による自習や日頃の知識でチャレンジすることもできます。

 

合格後のサポートも充実

GX検定の合格者には、動きと変化の激しい脱炭素に関する動向を反映したシラバスを更新、無料提供しています。今後は合格者のコミュニティも開始されたり合格後の学びをフォローする体制もあり心強いですね。

 

<GX検定 ベーシックの概要>


名称 GX検定 ベーシック
対象者 ビジネスパーソン全般 (受験資格制限無し)
受験時期 偶数月実施予定
実施形式 知識問題(多肢選択式・50問程度)/ オンライン実施(自宅受験)
試験時間 45分
出題範囲 シラバスより出題
受験費用 5,500円(税込)

GX検定ベーシックに完全対応している講座としてGX入門講座があります。こちらも合わせて受講することで効率よく検定の勉強が行えます。

<GX入門講座の概要>


講座名 GX入門講座
受講料 11,000円/1名(税込)
受講形式 eラーニング
講座時間 4時間
講座に含まれるもの 1.動画講義
2.講座資料
3.確認テスト

 

気になったらまずは無料トライアルを

今なら「GX入門講座」の一部を無料で受講することができます。GXとしてどのようなことが話題になっているかを知り、グリーン人材としてご自身のキャリアアップについて想いをめぐらせてみて下さい。


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SkillUp GreenのGX人材育成サービス

『スキルアップグリーン』では、脱炭素/循環型社会の実現に向け、GX(脱炭素・カーボンニュートラル)を推進する人材の育成サービスを通して、様々な企業様の成長を支援しています。業界横断の入門講座から、企業様別の戦略を描く実践講座まで幅広く展開し、GX推進に必要な知識体系・技術・ソリューションの整理、具体的な取組みまでを一気通貫でサポートします。