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大気汚染とは?原因や影響から日本の対策方法までわかりやすく解説

ニュースでも大気汚染問題をよく見かけます。かつて日本でも高度経済成長期に自動車排出ガスが公害として大きな問題になりました。

PM2.5をはじめとする大気汚染は世界的な環境課題です。人体の健康を守り持続可能な社会を築くためには、大気汚染対策に率先して取り組む必要があります。

今回は大気汚染の原因や歴史、世界や日本の対策をわかりやすく解説します。大気汚染について知見を深めるための一助としてください。

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大気汚染とは?

大気汚染の意味や原因、影響について具体的に解説していきます。

大気汚染とは何か

気象庁によれば、大気汚染とは、「自然または人工的に作り出された有害物質によって大気が汚染されること」と、定義されています。

出典:大気汚染に関する用語(気象庁)

大気汚染の原因

では大気汚染を引き起こす原因となる有害物質には、どのようなものがあるのでしょうか。ここでは代表的な例として、次の3つを解説していきます。

  • PM2.5
  • 光化学スモッグ
  • 酸性雨

PM2.5

中国の広い地域でPM2.5による大気汚染が発生し、日本でも基準値を超える濃度のPM2.5が観測されるようになりました。PM2.5とは、直径が2.5マイクロメートル以下の微粒子のことです。PM2.5は人間の経済活動による汚染物質の排出や、火山の噴火などの自然現象などが原因となって発生します。環境省ではリアルタイムで大気汚染の時間値データを、独自に地図化した画像を公開しています。


出典:そらまめくんギャラリー(環境展望台)

光化学スモッグ

光化学スモッグとは、工場や自動車などから排出される大気汚染物質が太陽光を受けて化学反応を起こし、生成される光化学オキシダントによって発生します。光化学オキシダントとは、窒素酸化物(NOx)や炭化水素(HC)が太陽の紫外線のエネルギーによって、反応してできるオゾンやPAN(ペルオキシアセチルナイトレート)、アルデヒドなどの汚染物質の総称です。光化学スモッグは大気が白くモヤがかかった状態になり、日差しが強く、気温が高い日中に発生しやすいのが特徴です。

窒素酸化物(NOx)

ものが高温燃焼するときに発生する窒素酸化物の総称です。大気汚染関連では、一酸化窒素(NO)と二酸化窒素(NO2)をまとめたものを意味します。窒素酸化物(NOx)の発生源は、工場、火力発電所、自動車、家庭などさまざまです。温室効果ガスの一種でもあり、特に二酸化窒素(NO2)は、高濃度の場合、人体や環境に悪影響を及ぼすと言われています。

大気汚染の影響にはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは代表的な次の3つの視点から解説していきます。

  • 人体への影響
  • 環境破壊
  • 経済打撃

人体への影響

高レベルの大気汚染は人体に多大な影響を及ぼす可能性があります。世界保健機関(WHO)は、2019年、大気汚染により約 670 万人が死亡したと報告しています。特に PM 2.5 は肺の奥深くに浸透し、心臓血管や脳卒中、呼吸器系に影響を及ぼす可能性があります。また、低所得国と中所得国の人々への影響が大きいこともわかっています。

出典:
大気汚染が人々の健康に及ぼす影響(WHO)
数十億人が依然として不健康な空気を吸っている(WHO)

環境破壊

大気汚染のなかでも酸性雨は、環境にさまざまな影響を及ぼします。河川や湖沼を酸性化することで、水中の昆虫や貝や甲殻類などが減少し、生物多様性への悪影響が懸念されています。また酸性雨の影響で土壌や水の性質が変わり、樹木の栄養分が不足したり、樹木に害のある物質が取り込まれ、森林全体が枯渇するなど大きな影響を与えます。

さらに自然だけではなく、建物や文化財への影響も深刻です。コンクリートを溶かしたり、金属に錆を発生させたりして、貴重な建造物の劣化を招いています。

経済打撃

経済的な面での影響も見過ごすことはできません。大気汚染による人体の健康への影響は、公衆衛生サービスのコストを増やし、経済的コストも増加させます。世界銀行は、大気汚染による世界経済の損失は2013年度には、2,250億ドルにものぼったと推定しました。

世界の大気汚染史と現状


ここでは世界の大気汚染の歴史と現状を解説し、大気汚染が諸外国にどのような影響を招いたのかを解説します。

諸外国の大気汚染史

大気汚染問題は、すでに14世紀にイギリスで起きています。当時イギリスは工業の発展とともに大量の石炭の使用で大気汚染を招きました。ほかにも諸外国の歴史的に有名な大気汚染問題には、以下のようなものがあります。

  • 1930年:ベルギー(ミューズ)
  • 工場から発生した亜硫酸ガス、一酸化炭素、フッ素化合物などにより地域住民に急性呼吸器疾患が発生し、家畜、鳥、植物も致死的被害を受けた。

  • 1944年:米国(ロサンゼルス)
  • 急激な人口や自動車数の増加により、石油系燃料に由来する大気汚染が発生し、日常生活の不快感や、家畜、植物果実の損害を招いた。

  • 1952年:イギリス(ロンドン)
  • ロンドンスモッグ事件と呼ばれ、家庭ストーブや工場、発電所から発生した粉塵や微細エアロゾルなどの大気汚染により、4000人の死亡者を出す。その後ロンドンでは「大気清浄法」が公布された。

出典:世界の大気汚染史(環境省)

世界の大気汚染の現状

2021年、大気汚染の実態を監視するスイス企業「IQエア」が世界117カ国・地域の計6475都市についてPM2.5の濃度などを調べた結果、世界保健機関(WHO)の新基準で問題のなかった国はひとつもありませんでした。PM2.5の平均濃度が基準値より下だった地域は、南太平洋の仏領ニューカレドニア、カリブ海の米自治領プエルトリコと米領バージン諸島の3カ所にとどまっています。一方、WHOの基準の10倍以上に達した国は、インド、パキスタン、バングラデシュ。そのほか1〜2倍にとどまったのは、北欧諸国、オーストラリア、カナダ、日本、英国でした。

日本の大気汚染史と現状

国内の大気汚染の歴史と現状を解説していきます。

日本の大気汚染史

年代 事象
第二次世界大戦前の大気汚染(~1944年:昭和19年以前) 紡績業や銅精錬業、製鉄業の規模が次第に拡大する明治年間から大正年間にかけてこれらの産業地地域では激しい大気汚染が発生
高度経済成長前半の大気汚染(1945年~64年:昭和20年~30年代) 高度経済成長の初期から全国の工業都市にて大気汚染による呼吸障害が発生。1955年から1965年頃、硫黄酸化物やばいじん等による大気汚染によって視程は30〜50mにまで低下
高度経済成長と公害の激化(1965年~1974年:昭和40年代) 大気汚染のみならず、水質汚濁、自然破壊、新幹線などによる騒音・振動などの問題が深刻化
石油危機と安定経済成長期以降の大気汚染(1975年~1984年:昭和50年代) 都市・生活型の大気汚染が発生。工場・事業場のほか、無数ともいえる自動車等の移動が大気汚染の発生源であり、代表的な汚染物質は窒素酸化物だった
都市・生活型大気汚染(1985年~2000年:昭和60年代~平成10年代前半) 平成になってもなお、全国の自動車排出ガス測定局の3割以上が、環境基準の上限を超過する状況が続く
地球化時代の大気汚染(1990年代~2000年:平成元年~平成10年代前半) この年代、大気について現在大きな課題となったのは、オゾン層破壊、酸性雨、地球温暖化などの環境課題である
環境省の発足と大気汚染対策(2001年~:平成13年以降) 新たに環境省が発足し大気汚染等の公害を防止するための規制、監視測定、公害健康被害者の補償等の仕事は環境省が一元的に担当することになる

出典:日本の大気汚染の歴史(独立行政法人環境再生保全機構)

日本の大気汚染の現状

PM2.5の環境基準達成率は数年横ばいの状況です。環境基準達成率とは、大気環境基準と水質環境基準の達成率であり、環境が汚染されていない良好な状態であることを示す指標です。光化学オキシダントに関しては、いずれの地域においても平成29〜令和元年度と比較して、令和2〜4年度の算定結果は低下していることから、長期的には大気汚染の濃度は、減少傾向にあるといえます。

世界と日本の大気汚染対策


大気汚染に対して世界や日本が、どのような取り組みをしているか代表的なものをいくつか紹介し、解説していきます。

海外の取り組み

次の4つの国の大気汚染対策をご紹介します。

  • アメリカ
  • ロンドン
  • タイ
  • 中国

アメリカ

アメリカでは1963年に「大気浄化法(Clean Air Act)」が制定されており、1970年、1977年、および1990年に大掛かりな改正が実施されています。この基準を達成できない地域には、特別な大気汚染対策の実施が義務付けられています。しかし2024年、連邦最高裁は政府が進める火力発電の排ガス規制をめぐり、政府の権限を縮小する判断を示しました。今後の政権によっては、アメリカの大気汚染を含む環境問題の進展は不透明になる可能性があります。

イギリス(ロンドン)

ロンドンでは1952年に大気汚染による公害事件「ロンドンスモッグ」以降、自動車の交通渋滞による排ガスによる大気汚染に大きな問題意識を持ち続けています。そのためロンドンでは渋滞税の導入や近年では「車の使用を減らし、より人々が歩く」をコンセプトとした「Beat the Street」という企画が開始されました。参加者にはポイントが付与されるなど、画期的な取り組みが行われています。

タイ

タイの大気汚染の主原因はディーゼル車の排ガスや野焼きです。特にディーゼル車の排ガスはタイ国内の大気汚染原因の約6割を占めているといわれています。そのため政府は、地域や時期に応じた野焼きの禁止を掲げ、さらに2025年1月以降に販売する新車について、ヨーロッパの排ガス規制である「ユーロ5」の準拠が義務化する予定です。

中国

中国の大気汚染の主要因は石炭の使用によるものです。中国の発電所は石炭を原料とする火力発電が、約6割を占めます。また一般家庭では石炭を燃料とするストーブが使用されているため、中国北部を中心に冬場に大気汚染が深刻になります。さらに自動車の排気ガス、黄砂による汚染もあります。そのため環境規制等強化や、再生可能エネルギーへの転換といった抜本的な環境対策が開始されました。また年間の自動車販売台数の約25%がEVとなっており、CO2排出量の少ないEV市場の拡大にも力を入れています。

日本の取り組み

日本の大気汚染対策について、「大気汚染防止法」の内容や、企業が行っている取り組みについて解説していきます。

大気汚染防止法

日本では1968年に「大気汚染防止法」が制定されています。「大気汚染防止法」の目的は、国民の健康を保護するとともに、生活環境を保全することです。大気汚染防止法の制定により、事業者は策定された排出基準を守ることが義務付けられました。工場や事業場(固定発生源)から発生する大気汚染物質について、物質の種類ごと、施設の種類・規模ごとに許容限度が定められています。

規制対象物質は以下のようになります。

  • ばい煙
  • 粉じん
  • 揮発性有機化合物
  • 有害大気汚染物質
  • 自動車排出ガス
  • 特定物質

企業の取り組み

ここでは大気汚染防止に取り組んでいる企業事例をいくつかご紹介します。

  • ヤマトホールディングス

車両を多用するヤマトグループは、重要な課題として大気汚染対策に取り組んでいます。2023年度には自動車窒素酸化物(NOx)、粒子状物質(PM)排出量2020年度比で25%削減を目標。2020年度比で、NOxを33%削減、PMを33%削減しました。また大気汚染物質排出が少ない自動車を8,951台導入し、低炭素や大気汚染防止を目指した自動モビリティの調査・共同研究にも取り組んでいます。

出典:サスティナビリティ(ヤマトホールディングス)

  • 東レグループ

東レグループでは、製造工場における環境保全対策を推進し、揮発性有機化合物(VOC)や硫黄酸化物(SOx)、窒素酸化物(NOx)などの大気汚染防止に取り組んでいます。2023年度の東レグループ全体のVOC大気排出量は1,092トンで、前年度と比較して、5.6%(65トン)減少しました。特に有機化学物質を多く取り扱うため、VOCの大気排出量削減を最優先課題としています。

出典:サスティナビリティ(東レグループ)

大気汚染を防ぐために一人ひとりができること

大気汚染は地球上で生活するすべての人に関わる問題です。ここでは一人ひとりが大気汚染を防ぐために、何ができるのか具体的な取り組みをいくつかご紹介します。できることから取り組まれてはいかがでしょうか。

  • エネルギーの無駄遣いをしない

電化製品を使う時間を短くして省エネに努めるなど、エネルギーを無駄使いしないことで、発電時に発生する大気汚染物質の排出を減らすことが可能です。

  • 省エネ製品を使用する

省エネに取り組む企業の製品やサービスを購入し、応援することで結果として大気汚染防止に貢献します。

  • 公共交通機関の利用

自動車をできる限り使用せずに、徒歩や公共交通機関や自転車などを利用することで大気汚染の防止へとつながります。

GX検定監修者より

大気汚染を環境負荷ととらえると、LCA(ライフサイクルアセスメント)ならびにISO14040について着目することが求められます。LCAは製品・サービスの資源採掘段階から廃棄・リサイクルに至るまでのライフサイクル全体、または特定の段階における環境負荷を評価するための手法のため、大気汚染の状況を把握することが可能となります。LCAはGX検定ベーシックで学ぶ内容になるので、まずは概念を理解するところからはじめていただけると幸いです。

まとめ

環境問題としての歴史が長く、世界的な取り組みが必要な大気汚染について、概要から歴史、世界と日本の対策まで網羅して解説しました。

環境問題に取り組むためにはしっかりとした知識を身につける必要があります。「GX検定」では、政府が掲げるGX(グリーントランスフォーメーション)や、環境課題について学ぶことができるため、おすすめです。

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GXメディア編集部
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GX人材育成サービス「スキルアップGreen」が運営するオウンドメディア、「GX DiG」の編集部です。GXやカーボンニュートラルに関する基礎知識やGX推進に役立つ人材育成に関する情報を日々発信していきます。今後もコンテンツはどんどん追加していきますので、GX関連の学びを深堀り(DiG)していきましょう。