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エネルギー基本計画とは?概要から第7次エネルギー基本計画まで解説

エネルギー基本計画とは、おおよそ3年ごとに見直される日本のエネルギー政策の長中期的な指針です。最新の第7次エネルギー基本計画では、気候変動対策推進のため、電源構成における再生可能エネルギーの比率が過去最高となりました。

今回はエネルギー基本計画の基礎的な知識から、第7次エネルギー基本計画のポイントまでわかりやすく解説します。日本の現状と課題についても解説しますので、ぜひ参考にしてください。

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エネルギー基本計画とは

ここではエネルギー基本計画について概要や背景、これまでの推移などを詳しく解説していきます。

エネルギー基本計画の概要

エネルギー基本計画とは、日本のエネルギー政策の基本方針を定める重要な指針で3年ごとに見直しがかけられています。エネルギー政策基本法に基づき政府が策定しており、国のエネルギー政策を長期的に支える重要な計画です。

エネルギー基本計画の背景

日本は、他国と比較して資源に乏しく、周囲を海に囲まれるなどの地理的制約を抱えています。そのためエネルギーの安定供給が難しいという課題を抱えています。1973年のいわゆる石油危機では、化石燃料の燃料種や調達国の多角化を進めることに加え、太陽光や、原子力、LNGなどの石油代替エネルギー源の開発・活用を進めてきました。

しかし日本は、燃料資源の大部分を輸入に依存しているため、国際情勢によってはエネルギーの安定供給が危ぶまれます。エネルギー基本計画はこのような日本の課題を鑑み、バランスの取れたエネルギー供給体制の構築に必須な計画として策定されました。

「S+3E」の重要性

エネルギー基本計画のなかで、重視されているのが「S+3E」という考え方です。「S+3E」とは、安全性(Safety)の「S」と安定供給(Energy Security)、経済効率性(Economic Efficiency)、環境適合性(Environment)の3つの「E」を指します。安全性を大前提にバランスの取れたエネルギー政策を目指すものです。

GX基本方針との違い

「エネルギー基本計画」と「GX基本方針」は、日本のエネルギー政策における二つの重要な枠組みですが、それぞれ役割は以下のように違います。

  • エネルギー基本計画
    国の長期的なエネルギー政策全般を定める計画
  • GX基本方針
    GX(グリーントランスフォーメーション)を推進するための具体的な行動計画であり、脱炭素と経済成長の両面を推進

エネルギー基本計画の目標

ここからはエネルギー基本計画の目標について以下の3つの視点から解説していきます。

  • カーボンニュートラルの実現
  • 脱炭素電源の推進
  • エネルギー自給率の向上

カーボンニュートラルの実現

日本はカーボンニュートラル実現において、「2050年目標と整合的で野心的な目標として、2030年度に温室効果ガスを2013年度から46%削減することを目指す。さらに50%の高みに向けて挑戦を続けていく」ことが目標です。2022年度の日本のエネルギー起源CO2排出量は約9.6億トンで、そのうち発電部門からの排出は約4割を占めています。2040年度には、3.6〜3.7億トン程度にまで削減することを目指しており、そのためにはエネルギー部門から排出されるCO2排出量を大きく削減する必要があります。

脱炭素電源の推進

日本は現在、電源構成の7割をCO2排出量の多い火力発電が占めています。そのため発電の脱炭素電源への置き換えや、火力発電の脱炭素化を推進していく必要があります。また再生可能エネルギーを主力電源として最大限導入するとともに、特定の電源や燃料源に依存し過ぎないような電源構成を目指す必要があります。

政府は再生可能エネルギーや、原子力などのCO2を出さない脱炭素電源の比率を、2022年度の約27%から2040年度には約60%〜70%にまで向上することが目標です。

エネルギー自給率の向上

現時点で日本はエネルギー資源のほとんどを輸入に依存しています。そのため2040年度にはエネルギー自給率3〜4割程度に向上させることを目指しています。

特に再生可能エネルギーの主力電源化に向けて太陽光発電におけるイノベーション推進や洋上風力発電の開発に力を入れています。

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エネルギー基本計画の変遷

これまでのエネルギー基本計画の推移を簡潔にご紹介します。

策定時期 主な特徴
2003年10月:第1次エネルギー基本計画
  • 「安定供給の確保」、「環境への適合」及びこれらを十分に考慮した上での「市場原理の活用」
  • 上記に沿ったエネルギーの需給に関する施策の長期的、総合的かつ計画的な推進を図る等
2007年3月:第2次エネルギー基本計画
  • 自立した環境適合的なエネルギー需給構造実現のため原子力発電推進、新エネルギーの着実な導入拡大
  • 石油等化石燃料の安定供給に向けて資源外交の積極的展開、強靱なエネルギー企業の育成等戦略的・総合的な取組を強化
  • 世界のフロントランナーとして省エネルギー政策の一層の充実・強化を図る等
2010年6月:第3次エネルギー基本計画 安定供給の確保(energy security)、環境への適合(environment)、これらを十分考慮した市場機能を活用した経済効率性(economic efficiency)の3E の実現を図ることが示された
2014年4月:第4次エネルギー基本計画
  • 東日本大震災及び東京電力福島第一原子力発電所事故の影響により、国内のエネルギー事情は大きく変化
  • 再生可能エネルギーの導入加速化、石炭火力や天然ガス火力の発電効率の向上等
2018年7月:第5次エネルギー基本計画
  • 3E+Sの原則の下、「より高度な3E+S」で、安定的で負担が少なく環境に適合したエネルギー需給構造を実現
  • 2030年に向け温室効果ガス26%削減
  • エネルギーミックスの確実な実現の計画的な推進、実現重視の取組、施策の深掘り・強化等
2021年3月:第6次エネルギー基本計画
  • 東電福島第一の事故後10年の歩み
  • 日本のエネルギー需給構造の抱える課題の克服
  • 2050年カーボンニュートラル実現に向けた課題と対応
  • 2050年を見据えた2030年に向けた政策対応等

参照:これまでのエネルギー基本計画について(資源エネルギー庁)

第7次エネルギー基本計画のポイント


第7次エネルギー基本計画は、2025年2月に閣議決定されました。ここでは第7次エネルギー基本計画のポイントを解説していきます。

エネルギーミックス(電源構成)の転換

エネルギーミックスとは、複数の発電方法を組み合わせて電気を作る仕組みのことで、日本語では電源構成と呼称されます。ここでは第7次エネルギー基本計画におけるエネルギーミックスの具体的な電源について解説していきます。

再生可能エネルギー

第7次エネルギー基本計画では、再生可能エネルギーを2030年度に36〜38%へ拡大する目標が掲げられています。日本は今後も再生可能エネルギーの主力電源化に向けて、電力市場への統合や、系統整備や調整力の確保に伴うコストの最小化、そして次世代にわたり事業継続が可能になるよう長期安定電源化に向けての再生可能エネルギーの拡大に取り組む計画です。

原子力

原子力の再稼働については、安全性の確保を大前提に、産業界の連携、国が前面に立った理解活動、原子力防災対策等、再稼働の加速に向け官民を挙げて取り組むことが示されています。

化石エネルギー

化石エネルギーを代表する石炭や石油による火力発電は、電源構成で68.6%と相変わらず国内では高い比率となっています。今後は火力発電全体で安定供給に必要な発電容量(kW)を維持・確保しつつ、非効率な石炭火力を中心に発電量(kWh)を低減していく計画です。

水素・アンモニア

水素等(アンモニア、合成メタン、合成燃料を含む)は、2024年5月に成立した水素社会推進法等に基づきサプライチェーンの構築や、国内外を含めた低炭素水素等の大規模な供給と利用に向けて、規制・支援一体的な政策を講じられ、コストの低減と利用の拡大が推進されます。

出典:2040年度におけるエネルギー需給の見通し(資源エネルギー庁)

再生可能エネルギーについてはこちらの記事もご覧ください。

再生可能エネルギーとは?種類や特徴、メリット・デメリットを解説

気候変動対策の推進

地球温暖化による気温上昇や異常気象は世界的に重要な課題です。パリ協定では「世界の平均気温上昇を産業革命以前と比べて2度より十分低く保ち、1.5度以内に抑える努力をする」という1.5℃目標が定められました。そのため気候変動対策を踏まえたエネルギー政策の重要性が、ますます高まっています。

日本はGX推進により、化石エネルギー中心の経済・社会、産業構造から、クリーンエネルギー中心の循環型社会に移行する計画です。そのためには経済社会システム全体の変革を行い、エネルギー安定供給、経済成長、脱炭素の同時実現を目指した取り組みを進めていきます。

GX2040ビジョンとの関連性

世界では、脱炭素に伴うエネルギー需給構造の転換を自国の経済成長に結びつけようとする動きが加速しています。こうしたなか、日本でもGXを推進する「GX2040ビジョン」が策定されました。

将来的にDXやGXの進展による電力の需要増加が見込まれています。それに見合った脱炭素電源を確保できるかどうかが、経済成長・産業競争力に直結する状況となっており、エネルギー政策と産業政策は不可分の関係と言えます。

GXについてはこちらの記事もご覧ください。

GX(グリーントランスフォーメーション)とは?意味やメリット、取り組み事例などをわかりやすく解説

世界のエネルギー政策の動向


ここでは世界のエネルギー政策の動向を解説していきます。

世界主要国の電源構成

世界の電源構成は2022年度で、火力が約35.8%を占めていますが、欧州を中心に太陽光や水力などの再生可能エネルギーの割合も確実に増えています。


引用:電気事業連合会

世界のエネルギー政策の現状

ここでは世界の主要国のエネルギー政策の現状を解説していきましょう。

米国

トランプ政権は、バイデン政権が進めたクリーンエネルギー投資政策を大幅に見直す方針を示しています。2025年初頭から米国内のクリーンエネルギー関連投資の後退は顕著となっており、2025年1〜3月の3カ月間で米国内の大型クリーンエネルギー関連プロジェクトが新たに16件撤回されるなど、米国のエネルギー政策は先行きが不透明な状況です。

欧州

欧州は、2022年にはロシア産エネルギーへの依存から脱却し、欧州のエネルギー供給を強靭にするための新たなエネルギー計画を発表しています。2022年中にガス依存を3分の1に、2030年目処でゼロにするべくLNG等への代替を進め、脱炭素を加速します。また 2024年2月、欧州委員会は EUの2040年時点の温室効果ガス排出削減目標として90年比90%削減を提案(再エネや原子力、水素の活用などあらゆる技術に言及する内容となっています。

インド

2070年ネットゼロ、2030年までにGDPに対するGHG排出量を2005年比で、45%以上削減する目標を掲げています。再生可能エネルギー導入の割合は、2030年までに合計500GWを導入する見通しです。水素・アンモニアの海外輸出や再エネ設備の国産化、EVの導入拡大などの産業政策を積極的に展開しています。

中国

2060年ネットゼロ、2030年までに2005年比で、CO2原単位65%削減を掲げています。増加する電力需要を賄うため、再エネ・原子力に加え、石炭火力も拡大していきます。再エネ・蓄電池・EVを中核とする産業政策を展開し、世界シェアを拡大。最近では、水素・CCSなどに対する取り組みも推進しています。

日本の現状と課題

ここからは日本のエネルギー政策の現状と課題を具体的に解説していきます。

日本のエネルギー自給率

日本のエネルギー自給率は2023年度で、約15.1%と、先進国のなかでも極めて低い水準となっています。日本のエネルギー自給率が低い理由としては、石油・石炭・天然ガスといった資源に乏しいことが主な原因です。そのため、再生可能エネルギーを主力電源として推進しつつ、一つのエネルギーに依存するのではなく多角的なエネルギーを活用しながら自給率を高めることを目指します。

再エネ導入推移と2030年度の導入目標

2012年7月のFIT制度(固定価格買取制度)により、再エネの導入は大幅に増加しました。特に太陽光発電は、2011年度0.4%から2019年度6.7%にまで拡大しています。再エネ全体では、2011年度10.4%から2020年度19.8%に拡大。今回のエネルギーミックス改定では、2030年度の温室効果ガス46%削減に向けて、施策強化等の効果が実現した場合の野心的目標として、電源構成36-38%(合計3,360~3,530億kWh程度)の導入が目標です。

再エネに関するコストの課題

IRENA(国際再生可能エネルギー機関)が公表している再エネのコストの報告によると、日本の再生可能エネルギーにかかるコストは世界的に見ても高く、導入拡大に向けた大きな課題となっています。今後は初期費用の軽減や政府の支援策などで、コストの低下が期待されます。

まとめ

日本のエネルギー政策であるエネルギー基本計画について、多角的に解説しました。日本のようにエネルギーの輸入によって、海外に多額の資金が流出する現状はもはや変えなければなりません。

日本のエネルギー基本計画は、エネルギー安全保障や脱炭素、そしてGXを推進するものとして、重要な役割を果たします。

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GX人材育成サービス「スキルアップGreen」が運営するオウンドメディア、「GX DiG」の編集部です。GXやカーボンニュートラルに関する基礎知識やGX推進に役立つ人材育成に関する情報を日々発信していきます。今後もコンテンツはどんどん追加していきますので、GX関連の学びを深堀り(DiG)していきましょう。