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【2026年】FIT(固定価格買取制度)とは?仕組みやメリット、FIPとの違いまで解説

 

日本はエネルギー資源の多くを海外に依存しており、エネルギーの自給率向上は喫緊の課題です。こうした背景から再生可能エネルギーの普及を目的として導入されたのが、FIT(固定価格買取制度)です。
2025年10月以降に導入された「初期投資支援スキーム」では、住宅用太陽光発電の買取価格が2段階制になり、導入初期の買取価格が引き上げられるなど、制度の変化が起きています。
本記事では、FIT(固定価格買取制度)の基礎知識からメリット、FIP制度との違い、そして最新動向までわかりやすく解説します。FIT制度を理解し、導入を検討するうえで役立つ内容となっておりますので、ぜひご一読ください。

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FIT(固定価格買取制度)とは

FIT制度についての基礎的知識や目的について解説していきます。

概要

FIT制度の正式名称は「Feed-in Tariff」であり、日本語で「固定価格買取制度」の意味になります。再生可能エネルギーによる電気を、電力会社が一定の価格で一定期間買い取ることを国が保証した制度のことで、2012年7月に開始されました。

出典:経済産業省 資源エネルギー庁「FIT・FIP制度 制度の概要」

目的は再生可能エネルギー推進

FIT制度の最大の目的は、再生可能エネルギーの普及です。制度を推進することで、企業や一般消費者による再生可能エネルギーの導入が拡大します。こうした取り組みの背景には、日本のエネルギー自給率の低さがあり、さらに近年深刻化している地球温暖化問題も密接に関係しています。ここではそれぞれについて解説します。

日本のエネルギー自給率の低さ

経済産業省によると2023年度の日本のエネルギー自給率は15.3%)で、G7の各国中(アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、カナダ、EU)で一番低い水準でした。また発電エネルギーの7割程度を化石燃料に依存しています。

出典:経済産業省「エネルギー白書2025について」

地球温暖化への対策

日本の全発電電力量の多くは化石燃料を用いた火力発電に依存しており、CO2などの温室効果ガスの排出が問題視されています。再生可能エネルギーは発電時に温室効果ガスを排出しないため、環境への負荷を下げる手段として注目されています。

再生可能エネルギーは自国の資源を活用できるため、海外への依存度を下げられる点が利点ですが、CO2排出量が少ないことも大きな特徴です。FIT制度を推進し、再生可能エネルギーを普及させることは日本のエネルギー安全保障の観点からも極めて重要といえます。

FITの仕組み


ここからはFIT制度の仕組みについてわかりやすく解説していきます。

FITの対象となる再生可能エネルギーの種類

FIT制度の対象となる再生可能エネルギーは、大きく分けて5種類あります。国が定める要件を満たす事業計画を策定し、その計画に基づく電力が対象です。

 

  • 太陽光
    太陽光のエネルギーをパネル(太陽電池モジュール)に当てることで発電する仕組み
  • 中小水力
    高所から水を落とす勢いで水車を回転させ発電する仕組み
  • 風力
    風力タービンを回転させることで発生する風力エネルギーを電力に変換し発電する仕組み
  • 地熱
    地中深くにあるマグマの熱を活用し発電する仕組み
  • バイオマス
    植物や生物を由来とした資源を活用し発電する仕組み

 

再生可能エネルギーに関してはこちらで詳しく解説しておりますので、ぜひご覧ください。

再生可能エネルギーとは?種類や特徴、メリット・デメリットを解説

再エネ賦課金(ふかきん)とは

再エネ賦課金の正式名称は「再生可能エネルギー発電促進賦課金」であり、電気料金に上乗せされて請求される費用のことです。日本の再生可能エネルギー導入を促進するために、国民が負担する仕組みです。

電気利用者が負担する再エネ賦課金の計算方法は以下のようになります。

 

  • 再エネ賦課金=使用電力量(kWh)×賦課金単価(円/kWh)

 

再エネ賦課金については、こちらの記事でも詳しく解説しておりますので、ぜひご覧ください。

再エネ賦課金とは?再エネの基本から仕組みや単価までわかりやすく解説

FITの適用期間と「卒FIT」


FIT制度による固定価格での買取には期間が定められています。たとえば10kW未満の住宅用太陽光発電の場合、買取期間は10年間です。この10年間の適用期間が終了することを「卒FIT」と呼びます。FIT制度そのものが終了するわけではなく、適用開始年度に応じて順次満了を迎えていく仕組みです。

FITのメリット

ここではFIT制度のメリットについて以下の3つの観点から解説していきます。

メリット1:エネルギー安全保障に貢献

前述のとおり、日本のエネルギー自給率は非常に低く、エネルギー供給の多くを海外に依存している現状です。そのため、国際情勢によってはエネルギー輸入が不安定になる可能性が高まります。さらに化石燃料は有限であり、環境への負荷が大きい点も課題です。一方、再生可能エネルギーは自然界に常に存在するエネルギー源であるため、枯渇することなく持続的に利用できます。

さらに、CO2排出量が少ないことから環境への貢献度が高く、自国のエネルギー安全保障を強化するうえでも大きなメリットがあります。こうした点を踏まえると、再生可能エネルギーの普及を促進するFIT制度は、非常に有効な仕組みであるといえるでしょう。

メリット2:売電で収益を得られる

FIT制度を活用することで、売電による収益を得ることが可能です。再生可能エネルギーを導入し、発電した電力のうち自家消費で使いきれなかった余剰分を電力会社へ売電することで収入を得られます。また、電気代の一部を補填できるため、節約効果も期待できます。

さらに再生可能エネルギーの導入は、化石燃料の使用を削減できるため、持続可能な社会の実現に貢献し、自社の環境価値向上にもつながります。

メリット3:ESGの推進

FIT制度を活用して再生可能エネルギーを導入することは、単なるコスト削減にとどまらず、企業のESG推進に直結する取り組みです。近年は、気象災害の激甚化や国際的な協調体制の揺らぎを背景に、気候変動リスクへの対応が企業経営における重要課題として位置づけられています。

再生可能エネルギーの導入は、温室効果ガス排出量の削減に寄与するだけでなく、環境配慮型経営を実践する企業としての評価を高めます。特にESG投資家や金融機関は、脱炭素への取り組みを重要な評価軸としており、資金調達面での優位性向上にもつながります。

2026年FIT制度:太陽光発電の買取価格が大幅に上昇

2025年10月以降に認定された10kW未満の住宅用太陽光発電については「初期投資支援スキーム」が導入されました。これにより買取価格が2段階制となり、導入初期の4年間は24円/kWhと従来(2025年度上半期の15円)より高く設定されています。しかし、5~10年目は8.3円/kWhと価格が下がる仕組みになっているため、適用期間中であっても自家消費の割合を高めていく工夫がより重要になります。

同計画では、再生可能エネルギー比率を全電源構成の4〜5割程度まで拡大する方針が掲げられ、特に太陽光発電については「23〜29%程度」という高い導入目標が設定されています。これにより、住宅・中小規模の太陽光発電の普及を強力に後押しする政策転換が進んでいます。

FITとFIPの違い

再生可能エネルギーの売電制度には、FITとFIPの2種類があります。両者の違いをわかりやすく解説していきます。

FIP(Feed in Premium)制度はプレミアムが付与

FIP制度の正式名称は、「フィードインプレミアム(Feed-in Premium)」です。再生可能エネルギーを固定価格で買い取るのではなく、発電業者に対して電力を販売した時の価格に一定のプレミアム(補助)を付与することで、事業者の投資インセンティブを促すことを目的とした制度です。

売電収入の仕組みが違う

FIP制度のプレミアムの単価の算定方法は以下です。

 

  • 基準価格-参照価格=プレミアム単価

 

FIP制度において、電力は市場に合わせた変動価格で買い取られるため、固定価格で買い取られるFIT制度とその点が大きく違います。FIP制度は電力の需要に応じて、売電価格が変動するため、需要が増加するとともに買取価格も上昇するというのが、大きなメリットといえます。

FIT制度の導入ステップ

FIT制度で売電を行うためには、発電設備を認定してもらうための「事業計画認定」の手続きが必要です。ここではFIT制度の導入ステップについて解説していきます。

①事業計画を立てる

まず、事業計画策定ガイドラインに基づき、どの再生可能エネルギーを用いて発電を行うかなど、事業計画を立てます。発電設備の設置から電力供給開始までには、多くの作業や手続きが必要です。また、国から事業認定を受けるためには、事前に電力会社から系統接続に関する同意を得ておく必要があります。

主な認定基準
関係許認可の取得・土地の確保・分割禁止・設備の決定・接続同意・保守点検及び維持管理・設備の廃棄・関係法令の遵守

②事業計画の申請

次に事業計画認定の申請を行います。発電方法やkW数で申請方法が異なりますので注意が必要です。

 

【50kW未満の太陽光発電の場合】

  1. 電子申請用のホームページにアクセスして申請書を作成
  2. 認定後、通知のメールが届く
  3. メールを確認し、認定通知書をダウンロードする

 

【50kW以上の太陽光発電・風力発電・3万kW未満の水力発電・地熱発電・バイオマス発電の場合】

  1. GビズID※ のアカウントを取得
  2. 電子申請用のホームページにアクセスして申請書を作成
  3. 必要事項を入力した申請書をプリントアウトした後、GビズID認証を行う
  4. 申請書と返信用封筒を発電設備の立地場所を管轄する経済産業局へ送付する
  5. 認定通知書が申請者に届く

 

※GビズID…経済産業省が提供する行政利用のためのサービス

③認定情報の公表

認定された事業計画は資源エネルギー庁のホームページにて公表されます。

FITの課題と今後の動向


FIT制度の現状の課題と将来的な動向について、国民の負担とエネルギー基本計画の観点から具体的に解説していきます。

国民の負担と売電価格の低下をどう見るか

国民はすでに再エネ賦課金という形で、一定の経済的負担を負っています。また、再生可能エネルギーの主力である太陽光発電、とりわけメガソーラーの設置に際しては、安全性の懸念や生態系への影響、景観問題など、地域とのトラブルが増加しているのが現状です。

こうした課題を踏まえ、FIT制度およびFIP制度では、関係法令の遵守に加え、地域住民への説明会の実施を認定要件として義務化しています。さらに、FIT制度開始当初の高い買取価格による国民負担の増大を抑制するため、買取価格の段階的な引き下げや入札制度の導入を進め、負担軽減を図っています。

エネルギー基本計画における再エネの重要性

第7次エネルギー基本計画では、再生可能エネルギーが初めて「最大限導入すべき主力電源」として明確に位置づけられ、2030年度における電源構成比を36〜38%へ引き上げる目標が示されています。また、政府が推進するGX(グリーントランスフォーメーション)2040ビジョンと連動し、温室効果ガス排出削減の中心的な存在として、再生可能エネルギー導入を最大化する方針が打ち出されています。

また、エネルギー政策の基本理念である S+3E(安全性・安定供給・経済効率性・環境適合) を基軸としており、再生可能エネルギーはこれらすべての要素に寄与する電源として評価されています。特に、国内で生産可能な再エネの拡大は、エネルギー安全保障の強化、脱炭素化の加速、そして新たな産業・雇用の創出を通じた経済成長に直結するものとして、今後の日本のエネルギー戦略において重要な役割を担うと位置づけられています。

 

エネルギー基本計画についてはこちらの記事で詳しく解説しています。ぜひご覧ください。

エネルギー基本計画とは?概要から第7次エネルギー基本計画まで解説

まとめ

日本の再生可能エネルギー政策において、重要な取り組みであるFIT制度について、さまざまな角度からわかりやすく解説しました。エネルギーの自給自足は、日本の気候変動対策や安全保障においても喫緊の課題といえます。またGX(グリーントランスフォーメーション)の推進にもFIT制度が果たす役割は小さくありません。

FIT制度について、しっかりと学ぶことで企業の環境経営へ大きなステップを踏み出すことが可能です。「GX検定」では、再生可能エネルギーをはじめとした脱炭素への取り組みや、GXについて基礎から学ぶことが可能です。

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GXメディア編集部
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GX人材育成サービス「スキルアップGreen」が運営するオウンドメディア、「GX DiG」の編集部です。GXやカーボンニュートラルに関する基礎知識やGX推進に役立つ人材育成に関する情報を日々発信していきます。今後もコンテンツはどんどん追加していきますので、GX関連の学びを深堀り(DiG)していきましょう。