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カーボンニュートラル配送とは?企業のScope3削減の重要性と担当者が学ぶべき知識

 

気候変動対策は、いまや企業における経営課題のひとつであり、なかでもカーボンニュートラルの推進は重要です。特に運輸部門におけるCO2排出量は、2023年全体の19.2%を占め、物流のScope3における脱炭素化は不可欠といわれています。

そこで注目されているのが、配送におけるCO2排出量を排出削減とオフセットの組み合わせによって実質ゼロにするカーボンニュートラル配送です。今回は物流の脱炭素化に必要な知識を網羅しつつ、カーボンニュートラル配送についてわかりやすく解説します。

物流担当者はもちろん、SCM(サプライチェーンマネジメント)に関わるすべてのビジネスパーソンに役立つ内容ですので、ぜひご一読ください。

>>求められるサプライチェーン全体の脱炭素化と1次データ活用の必要性とは?

カーボンニュートラル配送とは


カーボンニュートラルの重要性と基礎知識を含めて、カーボンニュートラル配送を詳しく解説していきます。

そもそもカーボンニュートラルとは

カーボンニュートラルとは「人為的な発生による温室効果ガス排出量と吸収量を均衡させること」です。具体的に言うと、代表的な温室効果ガスであるCO2排出量に対して削減努力を行い、それでも削減しきれなかった分のCO2排出量を植林や森林保全などで吸収、さらにはCCUSなどCO2を回収・貯留する技術により除去し、「実質ゼロ」にすることを指します。

日本では2020年10月に菅総理によって「2050年カーボンニュートラル宣言」が世界に向けて発信されました。

IPCC(気候変動に関する政府間パネル)は、「第6次報告書」で人間活動による大量の温室効果ガスが地球温暖化を加速していることは疑いの余地がないことを報告しています。カーボンニュートラルの達成はいまや世界的な潮流であり、実現しなくてはならない重要な課題なのです。

参照:IPCC 第6次報告書 統合報告書


出典:環境省「脱炭素ポータル」

カーボンニュートラル配送の定義

カーボンニュートラル配送とは、配送時に排出されるCO2排出量を実質ゼロにする取り組みです。EV(電気自動車)や省エネ設備の導入、再生可能エネルギーの利用に加え、森林保全などへの投資によるカーボンオフセットを行うことで、環境負荷の少ない配送を実現します。

カーボンニュートラル配送が注目されている背景

カーボンニュートラル配送が注目されている背景には、国内の運輸部門のCO2排出量の多さが挙げられます。

2023年度における日本のCO2排出量の9億8,900万トンのうち、運輸部門からの排出量は、1億9,014万トンで、全体の19.2%を占めました。自動車全体では運輸部門の85.7%を占め、貨物自動車は運輸部門の38.3%を排出しています。そのため、国土交通省は2030年度には、CO2排出量を2013年度と比較して35%削減することを掲げました。

そのため、物流から排出されるCO2排出量の削減に有効な手段として、カーボンニュートラル配送に注目が高まっています。

参照:国土交通省「運輸部門における二酸化炭素排出量」

カーボンニュートラルに関しましてはこちらで詳しく解説しておりますので、ぜひご覧ください。

カーボンニュートラルとは|意味や企業の取り組み、推進するメリットをわかりやすく解説

企業担当者が知っておくべき物流の脱炭素化知識

ここからは企業の担当の方が、物流の脱炭素化推進のために知っておくべき、基本的な知識を解説していきます。

サプライチェーン排出量とは

サプライチェーン排出量とは、企業の事業活動におけるCO2排出量を、自社だけでなく取引先や物流などを含む サプライチェーン全体で捉えて算定する方法です。製品やサービスが顧客に届くまでには、原材料の調達から製造、輸送、消費者への販売、使用、そして廃棄といった多くのプロセスがあります。サプライチェーン排出量は、これらの一連の流れから発生するCO2排出量のことです。

サプライチェーン排出量の算定方法は以下になります。

  • サプライチェーン排出量=Scope1排出量+Scope2排出量+Scope3排出量

Scope1・2・3

サプライチェーン排出量にはScopeという考え方があり、排出源に応じて次の3つに分類されます。

Scopeの種類 概要
Scope1(直接排出) 企業が自らの事業活動で直接排出するCO2排出量 自社の車両やボイラーの燃料燃焼による排出
Scope2(間接排出) 他社から供給された電気・熱・蒸気の使用による間接的なCO2排出量 工場やオフィスで使用する電力に伴う排出
Scope3(その他の間接排出) Scope1・2以外の、サプライチェーン全体で発生するCO2排出量 原材料の製造、物流、販売後の使用、廃棄など

 


出典:資源エネルギー庁「サプライチェーン排出量全般」

Scope3排出削減の重要性

Scope3には以下のように15のカテゴリが存在しますが、カテゴリ4と9ではサプライチェーンの上流・下流における輸送や配送について定められています。具体的に言うと、自社車両で配送する場合は、Scope1.2になりますが、外部委託する場合にはScope3のカテゴリ4.9を参照する必要があります。

そのため物流における脱炭素化を推進するには、Scope3におけるCO2排出量の削減を実施することが非常に重要になります。

 


出典:資源エネルギー庁「サプライチェーン排出量 概要資料」

サプライチェーン排出量に関しては、こちらでより詳しく解説しておりますので、ぜひご一読ください。

CO2排出量の計算方法を徹底解説:基礎知識から削減ステップまで

SCM(サプライチェーンマネジメント)の視点

また脱炭素化をSCM(サプライチェーンマネジメント)の視点から捉えることも有益です。SCMとは、サプライチェーン全体で製品や金銭の流れを共有・連携することでサプライチェーン全体の最適化を図る手法です。SCMで非効率な部分を特定することで製造工程の見直しや輸送手段、在庫管理の最適化を行うことができます。このように全体を見直すことで、脱炭素化を戦略的に推進することが可能です。

たとえば経営に影響を及ぼす過剰在庫は、倉庫への輸送回数の増加を招き、物流におけるCO2排出量の拡大につながります。しかし、SCMの視点から各部門の連携と効率化を図ることで、こうした無駄を削減し、サプライチェーン全体のCO2排出量を抑制することが可能です。これにより、環境負荷の低減とともに、持続可能なサプライチェーンの構築にも貢献できます。

カーボンニュートラル配送に企業が取り組む意義

ここでは企業がカーボンニュートラル配送に取り組む意義について、企業戦略やGX(グリーントランスフォーメーション)の推進といった視点から解説していきます。

物流における脱炭素化は重要な企業戦略

物流の脱炭素化は、企業のビジネスにおいて重要な戦略となります。例えばデジタル技術を活用してCO2排出量を削減すれば、環境配慮型の企業活動の透明性が高まります。さらにサプライチェーン全体の脱炭素化への強化にも繋がり、ステークホルダーへの信頼性を向上させるのにも有効です。結果として環境負荷削減と、企業の社会的信頼性向上の二つを実現することが可能です。

サプライチェーンにおける脱炭素化を推進

物流部門は、サプライチェーンの中でも特にエネルギー消費が大きく、CO2排出量の割合も高い領域です。そのため物流における脱炭素化を推進することは、カーボンニュートラルの実現を高めサプライチェーン全体の排出削減に貢献します。

カーボンオフセットの活用

物流分野における脱炭素化の推進は、カーボンオフセットの活用拡大にも繋がります。カーボンオフセットとは、森林保全や再生可能エネルギーの導入など、排出量に相当するCO2削減活動へ投資することで、実質的な排出量削減を図る仕組みのことです。

こうした取り組みは一般消費者からの評価向上に留まらず、投資家からの信頼獲得にも寄与します。特にESG投資の観点では、カーボンオフセットの積極的な活用は、企業の環境貢献姿勢を示す重要な要素となり、投資家の判断に大きな影響を及ぼします。

カーボンオフセットに関してはこちらの記事もぜひご覧ください。

カーボンオフセットとは|カーボンニュートラルとの違いや問題点、取り組み事例をわかりやすく解説

GX(グリーントランスフォーメーション)の推進

GX(グリーントランスフォーメーション)とは、「温室効果ガスの排出削減と経済成長の両立に向けた社会変革の取組」と経済産業省で定義されています。政府が推進するグリーン成長戦略の一環であり、産業政策・エネルギー政策の両面から、成長が期待される14の重要分野について実行計画を策定しています。そのため物流の脱炭素化のイノベーション促進にも大いに関連しています。

またGX市場を拡大するために、脱炭素化に積極的な企業が参加し取り組むGXリーグの設立も行われています。

 


出典:経済産業省「グリーン成長戦略(概要)」

GXに関してはこちらで詳しく解説していますので、ぜひご一読ください。
GX(グリーントランスフォーメーション)とは?意味やメリット、取り組み事例などをわかりやすく解説

グリーン物流の促進

国土交通省は運輸部門におけるCO2排出の約4割を占めるトラック輸送からの排出削減を図るため、トラック輸送の効率化や新技術等も活用した効率的な物流ネットワークの強化、モーダルシフトの推進などのグリーン物流に向けた取組を推進しています。代表的な取り組みとしては、以下のものが挙げられます。

モーダルシフト

モーダルシフトとは、日本語で「輸送手段の転換」という意味になります。これまでトラックや自動車などで運搬していた貨物の輸送を、CO2排出量の少ない鉄道や船舶への輸送に転換する方法のことで、CO2削減のみならず物流の効率化・ドライバー不足対策などにも大きな意義を持つと言われています。国土交通省は重要政策として推進しており、注目されています。

EV化・効率的な運行管理

EV(電気自動車)やハイブリッド自動車など、燃料電池自動車などの次世代自動車について、トラック・バス・タクシー事業用車両の導入支援などを計画しています。また自動車からのCO2排出が大半を占める運輸部門における排出削減を図るため、道路交通流対策や公共交通の利用促進などのスマート交通に向けた取り組みを推進、さらにはトラック輸送の効率化や、新技術などを活用した効率的な物流ネットワークの強化も図られます。

参照:国土交通省「2050年カーボンニュートラル・脱炭素社会の実現に向けた地球温暖化緩和策の推進」

カーボンニュートラル配送の展望


カーボンニュートラル配送は、輸送時のCO2排出量を削減することで、企業のカーボンニュートラル実現に大きく貢献する取り組みです。カーボンニュートラル配送を推進するためには、大手企業を中心とした物流業界が国際規格に基づき脱炭素化を加速させることが不可欠といえます。また、AIの活用による業務効率化や、産業全体での意識共有も重要な要素です。さらに、官民が連携しイノベーションを創出することで、カーボンニュートラルに貢献する持続可能な物流モデルの構築が一層進展することが期待されます。

カーボンニュートラル配送の企業事例

ここからはカーボンニュートラル配送に取り組んでいる企業事例をご紹介していきます。

ヤマト運輸

ヤマト運輸は、主力商品である「宅急便」「宅急便コンパクト」「EAZY」の宅配便3商品について、それぞれ温室効果ガス排出量削減施策を実行しています。国際規格「ISO 14068-1:2023」に準拠した正確なカーボンニュートラルの実現を目指しており、削減できなかった排出分に対しては、カーボンクレジットを使用することで、カーボンオフセットにも取り組んでいます。

参照:ヤマト運輸

JR西日本

JR西日本では、環境長期目標「JR 西日本グループ ゼロカーボン 2050」を策定し、2050 年には JR 西日本グループ全体のCO2排出量を「実質ゼロ」にすることを目標としています。燃料である軽油をカーボンニュートラルな燃料へ転換し、将来的には CO2 を発生させないカーボンフリーな気動車への転換も視野に入れて、さまざまな取り組みを行っています。

参照:JR 西日本グループ

西濃運輸株式会社

西濃運輸株式会社では、輸送におけるCO2排出量の可視化に取り組んでいます。当社のホームページ上では、国内輸送の運賃を見積る際に、CO2排出量を算出する機能を追加し、持続可能な輸送の取り組みを促進しています。CO2排出量は「ロジスティクス分野におけるCO2排出量算定方法共同ガイドライン」を基に算出されています。さらには多くの企業や団体とともに、脱炭素化推進の共創を視野に入れています。

出典:西濃運輸株式会社

まとめ:物流のGX化は企業の重要戦略

カーボンニュートラルの促進は世界的な流れであり、物流のGX化は企業の重要戦略となる時代です。脱炭素化の実現は、企業のイメージアップやブランディングにもつながります。そのためそれらの知識を深めることは、企業の担当者にとって不可欠な時代を迎えています。

企業担当者の方は、カーボンニュートラルや脱炭素に関する実用的な知識をつけ、今後の取り組みについて、検討することが重要です。

カーボンニュートラルやそれに伴う脱炭素についての基礎知識や、国が掲げるGXについて企業担当者が学ぶなら「GX検定」がおすすめです。

またGX人材育成プログラム「スキルアップ Green」もぜひご利用ください。

GXメディア編集部
GXメディア編集部
GX人材育成サービス「スキルアップGreen」が運営するオウンドメディア、「GX DiG」の編集部です。GXやカーボンニュートラルに関する基礎知識やGX推進に役立つ人材育成に関する情報を日々発信していきます。今後もコンテンツはどんどん追加していきますので、GX関連の学びを深堀り(DiG)していきましょう。