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TCFDとは?開示項目や企業が賛同するメリットなどをわかりやすく解説!

近年企業の取り組みとして耳にする機会が増えたTCFDですが、一体何かご存知でしょうか?この記事では、TCFDの概要や企業が賛同・開示するメリットなどを解説していきます。

TCFDは脱炭素経営に欠かせない取り組みです。脱炭素経営を目指す経営者の方や担当者の方は、ぜひ参考にしてください。

TCFDとは?

TCFDとは、「Task Force on Climate-related Financial Disclosure」の略であり、日本語では「気候関連財務情報開示タスクフォース」と呼ばれています。わかりやすく説明すると、気候変動への企業の対応状況を具体的に開示する取り組みのことを指します。また、それを推奨する国際的な組織のことも指します。

TCFDに賛同することを「TCFD賛同」、TCFDの提言に基づいて財務情報を開示することを「TCFD開示」といいます。

近年企業には、「脱炭素経営」が求められています。脱炭素経営では、気候変動対策の視点を織り込み、脱炭素化を目標とした企業経営を行うことが求められます。つまり、脱炭素経営を目指す上で、TCFDへの賛同・開示は欠かせません。

TCFDは一部の企業に実質義務化されていることや、さまざまなメリットがあることなどから、賛同・開示する企業は増加傾向にあります。

TCFDとTNFDの違い

TNFDとは、「Taskforce on Nature-related Financial Disclosures」の略であり、日本語では「自然関連財務情報開示タスクフォース」と呼ばれています。自然環境や生物多様性への取り組みを具体的に開示することを推奨する国際的な組織のことです。

TCFDは気候変動への取り組みに焦点を当てているのに対して、TNFDは自然環境への取り組みに焦点を当てています。つまり、両者は取り組みの範囲において違いがあり、TNFDの方がより広範囲の取り組みを対象としています。

TCFDが設立された背景

TCFDが設立された背景として、主に以下の2つが挙げられます。

  • 地球温暖化問題の深刻化
  • 企業を評価する基準の変化

地球温暖化問題の深刻化

TCFDが設立された背景には、地球温暖化の問題があります。地球温暖化問題は年々深刻化しており、2015年のパリ協定では、ついに温室効果ガスの排出削減に向けて具体的な目標が設定されました。しかし、それらの目標を達成するためには、企業の協力が不可欠です。

そこで設立されたのがTCFDです。企業はTCFDの提言に基づいた財務情報を開示することで、自社の気候変動によるリスクを把握し、CO2の排出量削減などの対策に注力することが期待されています。

企業を評価する基準の変化

近年企業は、利益だけではなく、社会に対する貢献性も重視されるようになりました。加えて、気候変動に対するリスクが高まる中で、ESG投資が注目されています。ESG投資とは、
環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)の3つを重視して、持続可能な社会に貢献する企業に投資することです。

ESG投資の増加により、企業は社会や環境に対する責任をより注視するようになっています。そのような背景もあり設立されたのがTCFDです。TCFD開示により、企業は社会や環境に対する取り組みを公開しやすくなり、投資家や金融機関から正しい評価を得やすくなっています。

TCFDが推奨する4つの開示項目

TCFDが推奨する開示項目は、以下の4つです。

  • ガバナンス
  • 戦略
  • リスク管理
  • 指標と目標

それぞれ具体的に説明していきます。

ガバナンス

ガバナンスでは、気候変動に関連するリスクと機会を、組織でどのように管理するかを開示します。具体的には、取締役会の責任や経営陣の役割、内部の意思決定プロセスなどを指します。

戦略

戦略では、短期・中期・長期でどのような気候変動に見舞われる恐れがあるか、気候変動によって自社の事業や戦略、財務にどのような影響を及ぼすかを開示します。

リスク管理

リスク管理では、気候変動に関連するリスクをどのように識別、評価、管理しているかを示します。そのためには、社内でリスクの整理と優先順位づけを統合的に行うことが重要です。

指標と目標

最後に、気候変動に関連するリスクと機会の評価・管理に用いる指標と目標を開示します。また、Scope1からScope3までの温室効果ガス排出量をGHGプロトコルに沿って算出し、脱炭素経営に取り組んできた実績や進捗状況も報告します。

TCFDが求めるシナリオ分析の重要性とやり方

4つの開示項目のうち「戦略」において、シナリオ分析が重要視されています。シナリオ分析とは、気候変動に関連するリスクやそれに伴う経営状況の変化に対して、さまざまなパターンのシナリオを想定しておくことです。

気候変動は長期的で不確実性の高い課題です。そのため、いくつかのパターンを想定して備えておかないと、柔軟に対応することが難しくなります。また、投資家としても、気候変動に対するリスク管理を評価しやすくなります。

シナリオ分析のやり方は、以下の通りです。

  1. シナリオ分析の事前準備
  2. リスク重要度の評価
  3. シナリオ群の定義
  4. 事業インパクト評価
  5. 対応策の定義
  6. 文書化と情報開示

参考:TCFDを活用した経営戦略立案のススメ|環境省

企業がTCFDに賛同・開示するメリット

企業がTCFDに賛同・開示するメリットは、以下の3つです。

  • 投資家や金融機関からの評価を高められる
  • 企業のリスク管理が強化される
  • 新たなビジネスの創出につながる

それぞれのメリットについて紹介していきます。

投資家や金融機関からの評価を高められる

TCFDの提言に基づいて情報開示することで、気候変動に関連するリスクを適切に管理していることが証明できます。投資家や金融機関からも信頼を得られ、評価を高めることにつながるでしょう。

投資家からの評価が高まると、投資を受けられる可能性も高まります。企業の成長にとって資金調達は欠かせないため、TCFDに賛同する企業は増加しています。

企業のリスク管理が強化される

TCFDへ賛同するにあたり、企業は気候変動に関連するリスクを評価・管理する必要があります。企業は目の前のビジネスにおける課題を優先しがちですが、TCFDに賛同・開示することで、時間を設けてリスク管理ついて検討することができます。

また、組織内における気候変動に対する意識も高まり、組織全体でリスク管理の強化が図れるでしょう。

新たなビジネスの創出につながる

気候変動に関連するリスクや機会を検討する中で、新しい技術やサービスが開発されることもあります。例えば、火力発電を主な事業とする企業が、CO2排出量の少ないバイオマス発電に着手するなどです。

環境への負担を考慮した新たなビジネスの創出により利益を得られるだけでなく、消費者や投資家からもよい評価を得られます。その結果、長期的なビジネスの成功に寄与するでしょう。

日本におけるTCFDの取り組み状況

日本におけるTCFDの取り組み状況について見ていきましょう。

一部の企業には実質義務化されている

2021年に改定されたコーポレートガバナンス・コードにより、東証市場のプライム市場に対して、気候変動に関連するリスクや機会を公表することが実質義務化されました。これにより多くの上場企業は、TCFDが開示を推奨する「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」の4項目について開示しなければなりません。

賛同企業は増加し続けている

日本においてTCFDへの賛同企業は増加し続けています。2023年10月12日時点で、世界全体では4,872の企業・機関が賛同を示している中、日本では1,470の企業・機関が賛同の意を示しています。賛同数は世界一位です。

背景には、プライム市場で実質義務化されていることに加えて、ESG投資の増加が挙げられます。以前にも増し、持続可能な社会の実現に貢献することが重視されているのです。

まとめ

この記事では、TCFDの概要や開示項目、TCFDに賛同・開示するメリットなどを解説しました。TCFDとは、企業の気候変動への取り組みの開示を推奨する国際的な組織です。TCFD提言に基づいて財務情報を公表することで、気候変動に対する取り組みを評価してもらいやすくなります。

TCFDへの賛同・開示も含めて、脱炭素経営を進めていくためには、脱炭素に関する知識が不可欠です。もし脱炭素に関する知識を身につけたいと考えているのであれば、GX検定がおすすめです。

GX検定とは、GX推進に不可欠な基礎知識・スキルを証明する検定試験です。GX検定 ベーシックに合格すると、環境省認定の「脱炭素アドバイザー ベーシック」を取得できます。ぜひ企業の脱炭素アドバイザーとして、資格取得を目指してみてはいかがでしょうか。

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GXメディア編集部
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GX人材育成サービス「スキルアップGreen」が運営するオウンドメディア、「GX DiG」の編集部です。GXやカーボンニュートラルに関する基礎知識やGX推進に役立つ人材育成に関する情報を日々発信していきます。今後もコンテンツはどんどん追加していきますので、GX関連の学びを深堀り(DiG)していきましょう。