福島コンピューターシステム株式会社
業種: | 通信・IT |
事業内容: | 業務系システム開発、制御・組込系システム開発、復興関連システム開発、製品・サービス開発 |
導入カリキュラム: |
・1時間に凝縮した研修でGXの全体像を学び、環境課題への理解が深まった
・短時間で受講可能なため、業務の合間に学びやすかった
・問題演習やGX検定を通じた継続的な学習機会により知識を定着できた
社会的にもSDGsへの関心が高まっていたことを受けて、2021年6月に2030年に向けたSDGsの達成目標を冊子にまとめて、全社員に配布しました。それが、社内で環境意識を高める最初の一歩になりました。
その後、取引企業が主催する環境目標策定のワークショップに参加する機会があり、自社の温室効果ガス排出量を初めて算出しました。この取り組みを通じて、2050年までにカーボンニュートラル、つまり排出量ゼロを目指すという目標を掲げました。算出結果は社外にも公開しています。
カーボンニュートラルに向けた具体的な施策としては、まずオフィスのフリーアドレス化や照明のLED化といった省エネ施策に取り組みました。ただ、それだけでは電力消費の削減に限界がありました。もともと検討していた太陽光発電は、建物の設置条件などの制約があって導入が難しかったため、新たに注目したのが「地中熱」です。自然エネルギーを活用した冷暖房システムを導入することで、より実効性のある削減策として進めることができました。
当社は、システムの受託開発を主たる事業とする中で、取引先からの環境への配慮やGXに関する要請を受ける機会が年々増えています。例えば、毎年取引先から環境に関するアンケートの依頼があり、その回答にGXの知識が必要です。GXに関する教育の実施有無を聞かれるケースもあります。
現時点では一部に限られるものの、今後こうした要請がさらに広がっていくことは明らかです。そうした中で、地方企業であってもGX対応を後回しにするのではなく、むしろこの変化をチャンスと捉え、GX人材の育成を通じて、信頼され、選ばれる開発パートナーとしての企業価値を高めようとしています。
当社では、DX(デジタルトランスフォーメーション)に関しては何年も前から継続的に取り組んでおりますが、これからの企業経営にはDXとGXの両輪が不可欠であると感じていました。一方で、GXはDXと比べて社内での当事者意識が低く、「一部の人が対応すればよい」「自分の業務には直接関係ない」といった受け身の姿勢が根強く残っていました。こうした状態では、どれだけ上層部がGXを重視しても、全社での推進にはつながりません。
そのため、「GXは全社員で取り組むべき経営課題である」という強いメッセージを込め、GXを組織文化に根づかせる第一歩として、全社員への教育を重視しました。
スキルアップNeXtのGX人材育成プログラムを知ったきっかけは、2024年春に開催された脱炭素経営EXPOでブースを訪れ、「スキルアップGreen」の取り組みを知ったことです。他の企業が主に環境対策のソリューションサービスを展開している中で、人材育成に特化しているという点がとても新鮮で、印象に残りました。
当初はサステナビリティやエコを含めて様々な検定を検討しましたが、脱炭素アドバイザー資格として環境省に認定されていて、体系的にGXの知識を学べるという点に惹かれ、まずは私が「GX入門講座」を受講し、「GX検定 ベーシック」を受験、合格しました。
GXの基礎知識やスキルを網羅的に学べたので、全社員向けに1時間で全体像を学べる「GX超入門講座」を導入することにしました。
GX超入門講座を全社員で受講しましたが、多くの社員にとってGXの基本的な概念や重要性、そしてカーボンニュートラルの必要性を認識する良い機会になりました。特に、具体的な事例を交えた説明があったことで、企業のGX戦略が社会や環境に与える影響をイメージしやすく、実感を伴って理解を深められたようです。
一方で、「専門用語が難しかった」「講義を一度聞いただけでは理解しきれなかった」という声も一部ありました。そうした意見からも、継続的な学びの機会が必要だと感じています。ただ、講座自体は1時間程度とコンパクトにまとまっていて、通常業務の合間に受けやすい点は、依頼する側としても大きなメリットでした。
講座をきっかけに、さらに深く学びたいという社員も出てきていて、GX検定への挑戦や、問題演習を通じて知識を定着させていく動きも始まっています。社員一人ひとりがGXを「自分ごと」として捉え始めたことが、何より大きな変化だったと感じています。
GX入門講座やGX検定を通じて、特にスコープ1,2,3に関する具体的な知識が深まったため、排出量目標の設定や取引先企業からの環境関連アンケートに、スムーズに対応できました。
福島県は、「再生可能エネルギー100%」の実現を目指すとともに、東日本大震災と原発事故によって今もなお多くの課題を抱えています。私たちのような地域企業が、これらの課題に真剣に向き合い、福島の復興に貢献することこそが、地域に根ざす企業としての使命だと思っています。
その一環として、まずはGX検定合格者を倍増させ、脱炭素分野でのアドバイザリーやコンサルティング業務への展開を目指します。自社のシステム開発力とGXをかけ合わせ、地域社会と企業の成長を支える重要な役割を果たすとともに、さらに多くの企業と連携し、福島の持続可能な未来を築いていきます。