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デカップリングとは?環境分野における意味や日本の現状を詳しく解説

デカップリングとは、一つのものを「分離」「分断」するという意味を持ち、経済や農業などさまざまな分野で使用されている専門用語です。

環境分野におけるデカップリングとは、経済成長と天然資源の利用や環境への影響を切り離すことを意味します。持続可能な社会構築は資源を大量消費せず、環境に悪影響を及ぼさない方法で経済を発展させていく必要があります。

本記事ではデカップリングの意味や使用分野など基礎的な知識から、環境分野における具体的な知識まで網羅して学ぶことが可能です。ぜひご一読ください。

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デカップリングとは

デカップリングの意味やそれぞれの分野における使われ方について解説します。

デカップリングの意味

デカップリングとは、「分断、分離する」という意味です。そもそも「カップル(Couple)」は「二つの組になっているもの」であり、動詞では「連動する、連結する」ことを表します。「デカップル(Decouple)」は、これの否定形であり、経済や環境、農業など幅広い分野で使用される専門用語です。

経済分野

経済分野におけるデカップリングの意味は、各国の投資や通商を規制し、連動させない動きのことで「経済分断」と訳されることが一般的です。近年は主に米中対立における文脈を示すときに使われることが増えています。

農業分野

農業分野においては、所得と生産を切り離すことを意味します。わかりやすい例で言うと、米農家の減反に対する奨励政策が挙げられます。例えば農家に減反を要求する代わりに、政府がその分の所得を補償するというものです。このような政策が実施される背景には、農産物の自由化による価格の国際化や、世界的農産物の生産過剰問題があります。

天然資源分野

天然資源分野におけるデカップリングの意味は、経済成長のために利用される水や化石燃料などの量を減らし、経済開発と環境悪化を切り離すことです。そうすることで世界の資源負担を最小限に抑え生態系サービスへの影響を低下させ、人口増加のニーズを満たし、経済を発展させることに貢献することが可能となります。

デカップリングとカップリングの違い

デカップリングの対義語として「カップリング」があります。ここではデカップリングとカップリングの意味の違いや、新たな概念の「デリスキング」との違いについて解説します。

カップリングとの違い

ビジネスにおけるカップリングとは、主に組織内の部門やシステム、プロセスなどが密接に連携し、互いに依存している状態を指します。これにより、一体的な運用が可能になる一方で、一部の変更が全体に波及しやすく、柔軟性や拡張性が損なわれる場合があります。対してデカップリングは、これらの要素間の依存関係を弱め、それぞれを独立させることで、個別の変更が全体に与える影響を限定し、柔軟性や拡張性を高めることを可能にします。

デリスキングとの違い

デリスキング(De-risking)とは、リスクを避けるだけではなく、経済的な繋がりや相互依存関係を保持しながら、それに伴うリスクを最小限に抑えることを意味します。

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環境におけるデカップリング


ここからは環境におけるデカップリングについて詳しく解説していきます。

経済成長とを環境への負荷を分断すること

環境におけるデカップリングの意味は、「経済成長と環境への負荷を分断すること」を意味します。つまり環境負荷のかからない経済成長の在り方を模索するということです。産業革命以後の経済の発展は、主に化石燃料や天然資源といった自然資源の大量消費によって支えられてきました。しかし自然資源は有限であり、環境への負荷が地球温暖化をはじめとした重大な環境課題を発生させています。

またエネルギーにおいては、「ある程度の経済成長や利便性を維持しつつも、エネルギー消費を減らしていく」ことが重要です。無尽蔵にエネルギーを消費することは環境への影響が増加することを意味します。世界は持続可能な社会構築にむけ、脱炭素や循環型経済(サーキュラーエコノミー)を目指す必要があります。資源を枯渇させず環境への負荷も少ない経済発展のためにはデカップリングの概念が非常に重要になります。

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相対的デカップリング

環境負荷の変化率がプラスでありながら、経済指標の変化よりも小さいことを表します。具体的に言えば、水やエネルギーなどの資源の利用効率を高めることで、GDPが資源利用の増加率を上回ることです。

絶対的デカップリング

環境負荷の変化率がゼロまたはマイナスの状態を表す。具体的にはGDPの上昇と共に資源利用が絶対量で減ることになります。

参照:経済成長と環境負荷のデカップリングの 解釈をめぐる課題(電力中央研究所)

デカップリングが求められる背景

環境負荷のデカップリングは、2001年の経済協力開発機構(OECD)環境大臣会合で採択された「21世紀初頭10年間のOECD環境戦略」の主な目標の1つとして、注目されました。OECDのレポート「持続可能な開発の促進のための政策」では、経済と環境を調和させ、経済成長が環境負荷に結びつかないようにするための政策的枠組みを提示しています。それにより「気候変動への対応」「天然資源の管理」「科学と技術の活用」などへの対策が盛り込まれました。

そのためには循環型経済(サーキュラーエコノミー)の推進や、脱炭素を促進する再生可能エネルギーの拡大が重要となってきます。

デカップリングの具体例

国内のデカップリングの具体例として経済成長と硫黄酸化物(SOx)排出量との関係があります。日本では甚大な公害と石油危機の経験から公害対策が推進され、省エネルギー型の高効率の製造設備の開発と導入を実施してきました。それによりSOxの排出量については、高度な排煙脱硫装置の普及と燃料の低硫黄分化の促進や熱の効率化利用の結果、OECD諸国のなかでも高いレベルでデカップリングを達成しました。

今後は低炭素社会を構築するために化石燃料の消費を低減する必要があります。そのためGX(グリーントランスフォーメーション)やグリーン成長戦略といった政策が推し進められています。

デカップリングとSDGs


デカップリングとSDGsは大きく関係しているといえます。SDGsとは地球の課題を2030年までに解決するための国際的な目標で、2015年に国連で採択されました。17の目標と169のターゲットで構成されており、内容は貧困や飢餓問題から、人権や気候変動対策まで多岐に渡ります。

なかでもデカップリングと関係の強いと思われる目標を以下に挙げて解説していきましょう。

目標7.エネルギーをみんなに そしてクリーンに

「すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的なエネルギーへのアクセスを確保する」がテーマです。エネルギーは生活に欠かせないものですが、現在の化石燃料を中心としたエネルギーシステムは多くの温室効果ガスを発生させます。そのためSDGsの目標7では「再生可能エネルギーの割合を大幅に増やす」ことが謳われています。

再生可能エネルギーとは?種類や特徴、メリット・デメリットを解説

目標12.つくる責任 つかう責任

「持続可能な消費生産形態を確保する」大量生産大量消費を改め、資源を無駄にせず再利用するなどの責任ある行動がテーマといえます。これは循環型経済(サーキュラーエコノミー)を大きく推進する為の目標といえます。

目標13.気候変動に具体的な対策を

目標13のテーマは「気候変動及びその影響を軽減するための 緊急対策を講じる」で、そのための温室効果ガスの排出削減の具体的対策を取ることを求めています。経済成長を推進すると同時に、気候変動対策を推進するための大きな目標です。

このようにSDGsの目標を達成することは、デカップリングの普及にも繋がっていきます。

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デカップリングの課題

デカップリングの概念は重要ですが、実際にデータや分析を可視化するのは困難であるという課題があります。

環境負荷データの定義

環境におけるデカップリングの課題として、環境負荷データの定義の難しさが挙げられます。環境負荷データとしては、CO2排出量、一次 エネ供給量、消費量、電力消費量などがあり、どれを観察指標とするのかは一概に決められません。エネルギーデータにおいては、生産原料としてのエネルギーの取り扱いをどうするかという考え方によります。例えば再生可能エネルギーや原子力のシェア変動が大きい状況においては、それらの一次エネ変換係数の定義則に連動して指標が振れやすく、慎重な解釈が求められます。

分析の難しさ

また分析手法の難しさも課題の一つです。同じ国や地域、そして同期間の指標であっても分析手法によっては、結果の印象が異なる可能性もあります。そのため分析手法の解像度を高め、透明で正確な実態把握を行う必要があります。

デカップリングの海外と日本の動向

ここではデカップリングの海外の主要国の動向や、日本の現状を解説していきます。

海外の動向

米国では、省エネルギー推進に向けたインセンティブをエネルギー事業者に付与することなどを狙いとしてデカップリングを実施しています。例えば電気・ガス料金制度の導入では、事業者の料金収入が料金改定時の想定を下回ったときは、次期の料金単価が自動的に引き上げられ、減少分が事業者に補填されます。しかしこれらの政策は、料金変動のリスクを被る需要家団体は反対し、環境保護団体は支持しているなど反応はさまざまでした。

また欧州では、第1次循環経済行動計画、2018年に発表されたプラスチック戦略、2019年7月に発効された特定プラスチック製品の環境負荷低減に関わる指令を発表し、以降、企業においても循環経済への移行に向けた活動が活発化しています。このような循環経済(サーキュラーエコノミー)は、経済成長を促しつつも、資源利用に伴う環境負荷を増加させないデカップリングを実現する持続可能な社会構築のための重要なアプローチといえます。

日本の現状

日本のデカップリングに関連する内容として、カーボンニュートラルの現状とグリーン成長戦略について解説していきます。

カーボンニュートラルの現状

日本は、2025年時点で温室効果ガス削減の野心的な目標として、2035年度、2040年度において、2013年度と比較し、それぞれ60%、73%削減することを目指しています。2023年度の国内の温室効果ガス排出量は、CO2換算で10億1700万トンと、前年度から4490万トン(4・2%)減ったと報告されています。温室効果ガス減少は2年連続で、1990年度以降で最少を更新しました。

しかし気候変動の原因となっている温室効果ガスは、経済活動・日常生活からも排出されています。2021年日本のCO2部門別の排出量を見ると以下のような結果であり、国民一人ひとりのライフスタイルに起因する温室効果ガスも多く、国や自治体、事業者だけの問題ではないことがわかります。


2021年日本のCO2部門別の排出量
出典:脱炭素ポータル

グリーン成長戦略

前述したカーボンニュートラルの実現を目指しながらも、日本はGX推進やグリーン成長戦略などの施策で経済成長を同時に推進しています。グリーン成長戦略とは国が中心となり経済成長と環境課題解決の両立を促すための施策です。2050年までに成長が期待される14の産業分野に対して規制緩和等を実施し、イノベーションの創出や産業システム転換の推進を図ります。

グリーン成長戦略とは|14の重点産業分野の実行計画や政府の支援策をわかりやすく解説

企業や個人に求められるアクション

ここではデカップリングに対して企業や個人に求められるアクションを詳しくみていきましょう。

環境経営の推進

企業が率先して環境経営を行うことで、事業活動に伴う資源・エネルギー消費と環境負荷の発生を抑制することができます。それと同時にグリーン調達や環境配慮製品・サービスの提供などを通じて、持続可能な消費と生産を促進すれば、環境配慮のための新たなビジネスチャンスも広がります。

再生可能エネルギーの導入

企業は再生可能エネルギーの導入を積極的に行うことで、環境におけるデカップリングを率先して行うことが可能です。日本はすでに再生可能エネルギーの一つである太陽光発電が普及しており、2011年度0.4%から2022年度には9.2%まで増加しています。また日本は2030年度の電源構成においては、再生可能エネルギーの比率を36〜38%まで向上する予定です。企業への再生可能エネルギーの導入のハードルは年々低下しており、今後ますます拡大していくでしょう。

循環型経済(サーキュラーエコノミー)の促進

企業が循環型経済(サーキュラーエコノミー)を推進することは、従来の大量生産・大量消費・大量廃棄という一方通行の経済モデル(リニアエコノミー)からの脱却を可能にし、環境負荷低減に貢献します。具体的には、製品の設計段階からリサイクルや再利用を考慮し、廃棄物を資源として最大限に活用することで、資源の消費を抑え、経済成長と環境保全の両立が可能です。

デカップリングのために個人ができること

デカップリングのために個人でできることには以下のようなものがあります。

  • 省エネの推進・再生可能エネルギーの利用
  • Reduce(リデュース:ごみの発生抑制)、Reuse(リユース:再使用)、Recycle(リサイクル:再生利用)の3Rの推進
  • 地産地消
  • プラスチック製品の使用を減らす

まとめ

さまざまな分野におけるデカップリングの意味や、環境におけるデカップリングについて詳しく解説しました。

本記事を参考にデカップリングの概念を知ることで、GXやグリーン成長戦略の意義についてより理解を深めて頂ければ幸いです。

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GXメディア編集部
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