【GX検定アドバンスト対策】:受験者が知っておきたい試験内容・勉強法まで徹底解説

GX検定ベーシックに合格し、GX検定アドバンストの受験を検討している方も多いのではないでしょうか?
今回は、GX検定の中でも排出量算定等のより実務的な内容にフォーカスした「GX検定アドバンスト」の概要やベーシックとの違いを解説していきます。
>>>「【GX検定アドバンスト】に挑戦する」
1. GX検定アドバンストの概要
「GX検定アドバンスト」は、環境負荷を削減しながら経済成長を実現することを目的とするGXという概念の中で、特に温室効果ガスの算定や開示、排出量削減手法に焦点を当てた中級レベルの試験です。株式会社スキルアップNeXtが主催する「GX検定」の4つの試験のうちの1つです。
「GX検定アドバンスト」の試験概要は以下の通りです。
申込方法 | 年間3回実施 開催期間中は随時申し込み受け付け中 最新の開催日程の詳細はこちら |
---|---|
実施形式 | 知識問題(多肢選択式・50問程度・計算問題あり)/ オンライン実施(自宅受験) |
試験時間 | 90分 |
受験費用 | 12,100円(税込) |
受験の対象者
GX検定アドバンストは、スキルアップNeXtのカーボンニュートラル実践講座(中級編)の受講が必須となります。
以下の方々には特におすすめな資格です。
- 企業のGX推進・サステナビリティ部門の担当者: 排出量算定担当者
- サステナビリティ部門との連携が必要な各事業部の担当者
- 企業の脱炭素経営を支援する専門知識を備えた金融機関の営業担当者
- IR部門の担当者
- 脱炭素化のアドバイスや実践支援を行う自治体職員・商工会議所の経営指導員
この試験は、基礎的な知識の保有を認定するベーシック試験を経て、さらに高度な専門性が求められるステップアップの試験となっています。そのため、環境分野の初学者から経験豊富な専門家まで、幅広い層にとって重要な資格といえます。
※GX検定アドバンストの受験資格に関して、GX検定ベーシックの合格は必須ではありません。
GX検定ベーシックからのステップアップ、GX検定アドバンストからのスタートのどちらも可能となっています。
出題範囲と試験時間
試験時間は90分間で、以下のシラバスの内容が試験の出題範囲です。
問題数は50問ですが、計算問題が含まれているので時間配分を意識して解くことが重要です。
脱炭素経営の全体像や気候関連の知識、排出量算定等の実務的な知識が問われます。
下記の表はシラバスの一部を抜粋していますが、さらに詳しく確認したい方はこちらからご参照ください。
チャプター | 大項目 | 中項目 |
---|---|---|
1 | 脱炭素経営の広がり | 脱炭素経営の全体像 |
脱炭素経営に関する国際動向 | ||
2 | 気候関連リスク・機会の把握 | 気候関連リスク・機会の把握 |
リスク重要度の評価 | ||
シナリオ群の定義 | ||
事業インパクト評価 | ||
対応策の定義 | ||
文書化と情報開示 | ||
3 | サプライチェーン排出量の概要 | GHGプロトコル |
排出量算定の概要 | ||
算定の原則 | ||
算定結果の活用方法 | ||
4 | Scope1, Scope2の算定方法 | Scope1,2 の基本的な考え方 |
Scope1,2 の算定方法 | ||
5 | 排出削減目標の設定 | 削減目標設定の手順 |
SBT概要 | ||
SBT認定基準 | ||
SBT認定状況 | ||
中小企業向けSBT | ||
6 | 排出削減計画 | 現状把握 |
削減施策の検討 | ||
削減施策の優先度判定 | ||
7 | 削減対策の実行 | 削減の全体像 |
省エネの推進 | ||
再エネ電力の調達 | ||
燃料・原料転換、新素材活用 | ||
NETs(炭素除去) | ||
新規脱炭素ビジネスの展開 |
合格基準
合格の目安は得点率70%です。
受験者数によって前後する可能性はありますが、70%以上を目指す必要があります。
具体的には、以下のポイントを押さえましょう。
- Scope1及び2の排出量に関する基本概念と算定方法を理解し、自組織の排出量を正確に把握する能力を身につける
- 排出量削減目標の設定手順を把握し、Scope1、2排出量削減のための代表的な方法について知識を深める
- 科学的根拠に基づく温室効果ガス(GHG)削減目標(SBT)の目的と取り組み概要を理解し、日本企業のSBTへの取り組み状況について学ぶ
- 排出権取引、カーボンクレジット、炭素除去といった削減手段の理解を深めると共に、GHG排出量開示の重要性について学ぶ
排出量に関しては以下の記事でも解説していますのでご覧ください。
>>>「CO2排出量の計算方法を徹底解説:基礎知識から削減ステップまで」
2.GX検定ベーシックとの違い
GX検定ベーシックとの違いについて、6つの項目でそれぞれ比較しました。
GX検定 ベーシック | GX検定 アドバンスト | |
---|---|---|
対象者 | 脱炭素、GXに取り組む企業の全社員 |
|
難易度 | GXSSレベル1(GXリテラシー標準)相当 | GXSSレベル2(GX推進スキル標準)相当 |
求められる知識・スキル | GXの重要性を理解し、基礎知識を有している |
|
受験資格 | なし(どなたでも受験可能) | カーボンニュートラル実践講座(中級編)受講者 |
資格で問われる範囲 | 脱炭素化の背景、脱炭素化に向けた動き、世界の動向、日本政府の動向、企業の取組、脱炭素の技術 | 脱炭素経営の広がり、気候関連リスク・機会の把握、サプライチェーン排出量の概要、Scope1, Scope2の算定方法、排出削減目標の設定、排出削減計画の策定、削減対策の実行 |
合格者数 | 2024#5時点で3,771名 | 2024#3時点で478名 |
GX検定ベーシックが基礎的な知識を問うのに対し、アドバンスト試験では実践力と応用能力に重点が置かれています。
アドバンスト取得を通じて、Scope1、Scope2の排出量算定や開示、排出量の削減手法が説明できるようになることを目指していただきます。
GX検定ベーシックは基本的に業種や職種は問わず脱炭素、GXに取り組む企業の全社員におすすめな資格ですが、アドバンストはより実務に深くかかわる方を対象としています。
難易度については、GX検定ベーシックはGXスキル標準(GXSS)のレベル1相当である「リテラシー標準」に準拠しているのに対して、GX検定アドバンストはGXSSのレベル2である「推進スキル標準」に準拠した資格となっています。
GXスキル標準(GXSS)については以下の記事でも解説しています。
>>>「GXスキル標準(GXSS)とは?策定された背景や内容を解説」
また、アドバンストの合格者数は2024年時点でまだベーシックの12.5%ほどしかいません。開催を重ねるごとに受験者数は増えているものの、まだまだ希少性が高い資格です。そのため、現時点で取得することによって企業内外でスキルのアピール力や、持っている価値が高まるでしょう。
GX検定アドバンストを取得することでの変化
ここからベーシックのみを取得している場合と、アドバンストまで取得した場合の変化や違いについて、担当業務ごとに説明します。
- GHG算定・開示業務担当者の場合
- 法人営業・コンサルティングの場合
- 経営企画・事業企画・新規事業創出の場合
GHG算定・開示業務担当者の場合
ベーシックのみ取得している場合、意味が分かる・知っている・理解している状態にとどまってしまうのに対して、アドバンストまで取得することで実践に移すスキルが伴います。そのため、知識から実務へステップアップが可能です。
例として、下記のようなことが挙げられます。大きな違いとしては、データなどを集めた後、何をどうするのかまで検討し実行できるようになるということです。
法人営業・コンサルティングの場合
前提として、営業マンが対峙する人のレベル感は、基本的に知識がそれなりにある人であるということがほとんどです。そのため、ベーシックのみのレベル感だと、具体例が出せず、ふわふわとした情報でとどまってしまうことも多いです。
アドバンストまで取得することで、実務者レベルの知識を持ってるからこそ引き出しが増え、対等に会話ができるようになります。クライアントの信用性も高まるため、より信頼関係が深まることにもつながります。
例として、下記のようなことが挙げられます。詳しい人と会話できるレベルから提案できるレベルになることが大きなポイントです。
経営企画・事業企画・新規事業創出の場合
こちらも同じく、知っている・理解しているというレベル感から、具体的な計画〜実行までができるようになるということが大きな違いです。
例として、下記のようなことが挙げられます。財務的観点や、目先のことだけでなく中長期のことまでより本質的な部分を考慮できるようになります。それだけでなく、実務担当者の業務理解にもつながり、スムーズにプロジェクトを遂行できるようになります。
3.GX検定アドバンストに合格するメリット
GX検定アドバンストに合格することのメリットを4点ご説明します。
- 環境省認定資格「脱炭素アドバイザーアドバンスト」を取得できる
- 排出量計算の実践的な知識を身につけることができる
- 名刺に記載してスキルの保有をアピールできる
- 社内外での評価向上やキャリアアップにつながる可能性が高い
環境省認定資格「脱炭素アドバイザーアドバンスト」を取得できる
GX検定アドバンストは環境省認定資格の「脱炭素アドバイザーアドバンスト」に認定されています。
環境省HPでは認定レベルを以下のように規定しています。
- 「脱炭素に関する顧客アドバイスの現場において、中核的な役割を果たす職員」
- 「脱炭素経営の重要性(リスク・機会)、温室効果ガス排出量の計測方法・削減手法について説明ができる」
出典:「環境省:脱炭素アドバイザー資格の認定制度」
GX検定ベーシックでは、脱炭素に関するコミュニケーションに必要な知識を身につけることを目指しますが、GX検定アドバンストではより実務にフォーカスした知識が必要となっています。
脱炭素アドバイザーについての詳細は以下の記事でも詳しく解説しています↓
>>>「脱炭素アドバイザーとは|種類や資格の概要、難易度、メリットについて一挙紹介」
排出量計算の実践的な知識を身につけることができる
GX検定アドバンストではscope1~scope2の考え方や算定方法、SBT認定方法等の企業内における脱炭素推進に直結するような内容を中心に学習するため、かなり実務に即した知識を身につけることができます。
名刺に記載してスキルの保有をアピールできる
GX検定 アドバンスト合格者に提供する「合格認証ロゴデータ」とセットで名刺に記載することができます。
記載することで、GX人材としてのスキル保有をアピールできます。もちろんレベルが高ければ高いほどアピール力が高まるため、中級資格であるアドバンストを保有することは大きなメリットといえます。
社内外での評価向上やキャリアアップにつながる可能性が高い
GX検定アドバンストに合格することで、自身のGXに関する専門性を証明することができます。企業においてはGX推進の中核人材として、実務での活躍の幅が広げられるかもしれません。
また、GX関連の法規制や最新動向を理解していることをアピールすることでステークホルダーとの円滑なコミュニケーションにも貢献できるようになります。
4.GX検定アドバンストの勉強方法
続いて、GX検定アドバンストの学習方法について説明します。
カーボンニュートラル実践講座(中級編 )を視聴する
アドバンスト試験はカーボンニュートラル実践講座(中級編 )の受講が必須要件となります。本講座は、GX検定アドバンストの試験内容を網羅しています。アドバンストの内容を対策するためのメインコンテンツになるので徹底的に活用することが重要です。
講座に含まれる内容は以下の通りです。
動画講義 6時間 + 演習 4時間(排出量算定の概要・データ整備と排出量算定の実践)+確認テスト20問
以下の流れで、本講座を活用すると良いでしょう。
動画講義で基礎を固める
動画講義では、カーボンニュートラルに関する基礎知識から、具体的な排出量算定方法、削減に向けた取り組みまで、幅広く学ぶことができます。動画なので、自分のペースで繰り返し学習できるのがメリットです。重要なポイントをメモしたり、不明な点はすぐに調べて理解を深めましょう。
演習で実践力を養う
動画講義で得た知識を活かし、実際に排出量算定を行う演習も用意されています。
演習を通して、データの収集・分析方法や算定ツールの使い方を習得することができます。実践的なスキルを身につけることで、より深い理解へと繋がり、試験対策にも役立ちます。
アドバンスト出題傾向と対策についての解説動画を確認する
動画では、例題に沿って問題の出題傾向や意図、効果的な学習方法など、受験に向けたポイントを解説しています。
GX検定の試験問題は、単に用語や数値を暗記し、計算手法を機械的に当てはめるだけでは解答が難しい問題も多く含まれています。その詳細について、動画では例題を提示しながら、弊社代表の田原が詳しく解説しています。
検定合格に向けて学習する際に押さえるコツが分かるようになるはずですので、ぜひ一度チェックしてみてください。
また、実際にGX検定 アドバンストに合格した方にインタビューした動画も掲載しています。試験対策方法や、取得後どんな側面で実務に活かせたかなどを伺いました。
ぜひ合わせてチェックしてみてください!
まとめ
本記事ではGX検定アドバンストについて解説しました。
GX検定アドバンストは、脱炭素社会実現に向けた実践的なスキルを身につけるための重要な資格です。ベーシックに合格した方、さらなるステップアップを目指したい方、企業で脱炭素化を推進する立場にある方にとって、アドバンスト取得は大きなメリットとなります。
環境省認定資格であるため、取得することで社内外での信頼度向上、キャリアアップにも繋がります。排出量算定、削減目標設定など、実務に直結する知識を深め、脱炭素化を推進する人材として活躍できるようになりましょう。
GX検定アドバンストの申込はこちら
スキルアップNeXtのメールマガジンでは会社のお知らせや講座に関するお得な情報を配信しています。
メルマガに登録して用語集をもらう
また、SNSでもGXに関するさまざまなコンテンツをお届けしています。興味を持った方は是非チェックしてください♪