RE100とは?メリットや日本・海外の加盟企業などをわかりやすく解説
企業の脱炭素関連業務を担当している方は「RE100って何?」「加盟するとどんなメリットがあるの?」などの疑問があるのではないでしょうか?
この記事では、RE100の概要や設立の背景、メリット・デメリットや日本・海外の加盟企業を紹介しています。ぜひ最後までご覧いただき、企業の脱炭素経営の参考にしてください。
RE100とは?
RE100とは、「Renewable Energy 100%」の略で、事業活動で消費するエネルギーを100%再生可能エネルギーで調達することを目標とする、国際的なイニシアチブです。RE100の読み方は、「あーるいーひゃく」です。
再生可能エネルギーとは、常に自然界に存在するエネルギーであり、太陽光や水力、風力などが挙げられます。再生可能エネルギーでエネルギーを調達することで、CO2の排出量を大幅に削減し、地球環境問題の解決に貢献できます。
RE100に加盟した企業は、2050年を上限として自らが設定した期限までに、消費するエネルギーを100%再生可能エネルギーで調達を目指さなければなりません。その目標を達成するために、再生可能エネルギー発電施設の導入や再生可能エネルギー発電事業者からの購入など、さまざまな方法を模索して実践していきます。
SBTとの関連性
SBTとは、企業が設定した温室効果ガスの排出量削減を⽬標とするイニシアチブであり、目標値はパリ協定で求められている水準と整合させる必要があります。
SBTで温室効果ガスの排出量削減に取り組む中で、ほとんどの企業は再生可能エネルギーの導入に着手するでしょう。つまり、SBTはRE100よりも広範囲の目標であり、RE100を達成することがSBTの達成にもつながります。
SBTについて詳しくは以下の記事で紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
SBTとは|取り組むメリットや企業事例、認定を受ける方法を紹介
脱炭素経営との関連性
脱炭素経営とは、気候変動対策の視点を織り込み、脱炭素化を目指して企業経営を行うことです。その手段として、省エネや再生可能エネルギーへの切り替えなどがあります。つまり、脱炭素経営を実現する上で、再生可能エネルギーの活用は不可欠な要素です。
また、企業が社外に対して脱炭素経営を証明するには、RE100やSBTに取り組んでいることを明示するのが効果的です。そのような観点から、大手企業を中心にRE100やSBTへの加盟企業数が増加しています。
脱炭素経営については以下の記事で解説しているので、合わせてご覧ください。
脱炭素経営とは | 企業が取り組むメリット・デメリットや方法、事例を紹介
RE100が設立された背景
RE100が設立されたのは、気候変動対策を強化し、温室効果ガスの排出量削減を進めるためです。気候変動による地球温暖化が世界的な問題となっており、温室効果ガスの排出量削減が喫緊の課題となっています。そのような状況下でパリ協定が締結され、以下の目標が掲げられました。
「世界共通の長期目標として産業革命後の気温上昇を2℃以内にする。そのために、気温上昇を1.5℃に抑える努力を追求する。」
この目標を達成するためには、政府だけではなく、企業の協力が不可欠です。そこで、エネルギー使用量が多い企業を対象としたRE100が設立されました。
RE100に加盟する条件
RE100の加盟対象は、年間の消費電力量が100GWh以上(日本企業は50GWh以上に緩和)の企業です。ただし、特例やその他の細かい条件もあるので、詳しくは以下のページをチェックしてみてください。
年間の消費電力量が50GWhに満たない中小企業などの場合は、日本独自の「再エネ100宣言 RE Action」への加盟が推奨されています。本枠組みでは、日本国内の企業や自治体、教育機関などを対象として、100%再生可能エネルギーを利用することを目指しています。
さまざまな支援や情報発信も行っているので、中小企業の担当者の方は、加盟を検討してみてはいかがでしょうか。
再生可能エネルギーを調達する方法
RE100に加盟して再生可能エネルギーの利用100%を目指すには、以下2つの方法があります。
- 自社で再生可能エネルギーの発電施設を導入する
- 再生可能エネルギーの発電事業者から購入する
発電事業者から購入する方法は、具体的に下記などです。
- オンサイトやオフサイトで直接調達する
- 再エネ由来電力メニューを契約する
- 再エネ電力証書を購入する
ちなみに、環境省の資料によると、2020年時点で自社導入の発電施設から調達している企業の割合はわずか3%です。ほとんどの企業が外部から購入して再生可能エネルギーを調達しています。
企業がRE100に参画するメリット
RE100に参画するメリットは以下の3つです。
- 消費者や投資家からの評価を高められる
- 環境問題の解決に貢献できる
- エネルギー価格が高騰するリスクを回避できる
それぞれのメリットについて紹介していきます。
消費者や投資家からの評価を高められる
企業がRE100に参画すると、気候変動対策に積極的に取り組んでいる企業であるという印象を与えられ、消費者や投資家からの評価を高められます。特に、投資家の中ではESG投資が注目されており、RE100への参画が投資につながることもあります。
環境問題の解決に貢献できる
RE100は環境問題を解決するために設立されたイニシアチブであり、多くの企業が加盟することで、解決に大きく近づきます。
また、大手企業が中心となって再生可能エネルギーの利用、ひいては環境問題の解決に取り組むことで、世の中の環境問題に対する意識も変革されるかもしれません。
エネルギー価格が高騰するリスクを回避できる
現在日本はエネルギー供給の約80%を化石燃料に依存しており、そのほとんどを海外からの輸入に頼っている状況です。そのため、海外の情勢が不安定になると、価格が高騰するリスクが想定されます。
しかし、企業がRE100に加盟して再生可能エネルギーの割合が高まれば、国内でのエネルギー自給率も高まります。これにより、エネルギーコストの安定化や低価格化が期待されているのです。
企業がRE100に参画するデメリット
RE100に参画するデメリットは、以下の2つです。
- コスト負担が大きい
- FIT認証を受けたエネルギーは対象外である
それぞれのデメリットについて説明していきます。
コスト負担が大きい
企業がRE100に参画して目標を達成する上で、方法によってはコスト負担が大きくなる恐れがあります。
例えば、自社で再生可能エネルギーの発電施設を導入すると、決して少なくない初期費用がかかります。しかし、長期的な視点で考えると初期費用は回収できる可能性が高いです。そのため、目先の利益だけではなく、長期的な視点で考えることがポイントとなります。
また、環境省の調査によると、回答者の約4割が「再エネ電⼒を購⼊した結果、コストが減少した」と回答しました。中でも、PPA(発電者との直接契約)と自社発電がコストを下げるものとして、RE100はアピールしています。
FIT認証を受けたエネルギーは対象外である
再生可能エネルギーを外部から調達する場合、FIT認証を受けたエネルギーは対象外となってしまいます。FIT認証とは、国が再生可能エネルギーの売電価格と期間を保証するものであり、市場価格よりも高値で買い取ってもらえます。
このFIT認証を受けたエネルギーは対象外であるため、購入先は慎重に検討する必要があるでしょう。
RE100に加盟している日本企業・海外企業
RE100に加盟している日本企業数は、2024年1月時点で85社です。具体的には、下記などの企業が加盟しています。
- 株式会社リコー
- 積水ハウス株式会社
- イオン株式会社
- 城南信用金庫
- ソニー株式会社
- 楽天グループ株式会社
- 株式会社セブン&アイ・ホールディングス
- 花王株式会社
- Zホールディングス株式会社
そして世界全体では、426の企業が加盟しています。例えば、GoogleやApple、IKEAやネスレなどです。ちなみに、加盟企業がもっとも多い国はアメリカであり、日本が2位となっています。
RE100についてよくある質問
RE100についてよくある質問に回答していきます。
中小企業が加盟したい場合はどうすればいいですか?
RE100へ加盟するには、年間の消費電力量が50GWh以上(日本企業の場合)でなければならず、中小企業はこの条件を満たさない可能性が高いです。その場合は、日本独自の「再エネ宣言 RE Action」への加盟が推奨されています。
RE100への加盟費用はいくらですか?
RE100への加盟費用は、ベーシック会員が3,500ドル、ゴールド会員が15,000ドルとなっています。
まとめ
この記事では、RE100の概要や設立の背景、加盟するメリット・デメリットなどを解説しました。脱炭素経営を推し進めている企業は、RE100もしくは「再エネ宣言 RE Action」への加盟を検討してみてはいかがでしょうか。
また、脱炭素経営を進める上では、RE100やSBTへの加盟だけではなく、従業員の育成も不可欠です。脱炭素に関する知識を身につけた従業員がいることで、さらに脱炭素経営は加速していくでしょう。
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