中野製薬株式会社

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競争優位性はサステイナビリティから生み出せる。GHG排出量削減の具体策を描ける人材育成でCFP算定の次のステージへ。

中野製薬株式会社 競争優位性はサステイナビリティから生み出せる。GHG排出量削減の具体策を描ける人材育成でCFP算定の次のステージへ。
ヘアサロン向けのシャンプーやスタイリング剤、ヘアカラー剤といった頭髪化粧品の製造・販売を行う中野製薬。同社では2020年にサステイナビリティ推進プロジェクトを立ち上げ、顧客である頭髪化粧品業界を巻き込んだ長期的な競争優位性の構築に取り組んできました。2024年に頭髪化粧品業界でいち早くCFP算定を実現した同社ですが、次のステップであるGHG削減の実践に向けた体制を整える必要がありました。
今回はその一環でスキルアップGreenのGX研修を受講し、GX検定を受検していただいた「サステイナビリティ推進プロジェクト」から、坪西様、谷本様、山田様、柿沼様に、導入の経緯とその後の変化について伺いました。
  • 課題・背景
    GHG排出量の見える化はできたものの、その先の「具体的な削減策を描けない」という課題に直面していた
    社内に削減策を立案・評価・実行できる知識とスキルが不足していた
    部署横断型プロジェクトのため、メンバー間の知識レベルにもバラつきがあり、体系的な知識習得が必要だった
  • 効果
    メンバーの知識の解像度が上がり、GXの全体像がクリアになった。これにより、具体的な削減策についてメリット・デメリットを比較するなど、より高度な議論ができる土台ができた
    GHG排出量の算定方法など、日々の業務に直結する知識が得られ、効率化につながった
    研修で知識の引き出しが増え、社内向け勉強会の講師をする際に、より噛み砕いて説明したり、一歩踏み込んだ話ができるようになった

ポイント

経済産業省の「GXスキル標準」に準拠したカリキュラムで、GXの全体像を体系的に学習
講座と検定の組み合わせで明確なゴールと期限があることによって、学習意欲を高く保てた
体系的な育成プログラムが提供されており、最新情報を得て具体的な施策を検討できる専門知識を習得できた

業界の競争優位性を築くために、GHG排出量削減の具体策を描ける人材を育て、CFP算定の次のステージへ。

これまでのGXの取り組みについて教えてください。

坪西様:

私たちのGXへの取り組みは、2020年4月に「サステイナビリティ推進プロジェクト」が発足したことから始まります。当時、理美容業界ではまだサステイナビリティへの関心が高くありませんでしたが、社長の中野が「他社に先駆けて取り組むことで競争優位性につながる」と、強いリーダーシップを示して実現しました。

このプロジェクトは、サステイナビリティに限らず、昔から弊社にある部署横断型の文化を活かしたものです。私(研究開発)や谷本(経営企画室)、山田(管理本部)、柿沼(広報)のように、各本部から代表者が参加し、それぞれの業務とは別にプロジェクトとして活動しています。この体制のおかげで、プロジェクトで決まった施策を各本部に持ち帰り、自分ごととして落とし込みやすいという利点があります。

これまでに、プロジェクトでの議論を経て、頭髪化粧品業界で初めてとなるカーボンフットプリント(CFP)の算定や、グループ会社を含めた全事業所における使用電力の100%再生可能エネルギー化などを会社に提案し、実行してきました。これらは、競合がまだ手をつけていない領域で差別化を図るという狙いがありました。
※当社調べ(2025年8月25日現在)。

GX研修の導入にはどんな背景がありましたか。

坪西様:

算定支援サービスを使ってGHG排出量の「見える化」はできたのですが、その先の「具体的な削減策を描けない」という大きな壁に直面しました。その根本原因は、社内に削減策を立案・評価・実行できる「人の知識とスキル」が決定的に不足していることだと特定しました。
また、プロジェクトメンバーは各部署から集まっているため、サステイナビリティへの関心や知識レベルには正直なところ大きなバラつきがありました。長く活動し、CFP算定などの実務経験があるメンバーもいれば、Scope 1、2、3の違いが分からないレベルで新たに参加するメンバーもいます。これまでは各自の独学に頼ってきましたが、次の削減フェーズへ進むためには、メンバー全員が専門的な知識を体系的に身につける必要があると判断しました。

柿沼様:

私は広報として、会社の取り組みを外部に発信する役割を担っています。しかし、発信する立場として「なぜこの取り組みが必要なのか」「どういう仕組みなのか」を理解していなければ、説得力のある発信はできません。社内全体を見ても、自社の取り組みは知っていても、その背景にある世界の動向まで理解している人は少ないのが現状でした。まずは私たちプロジェクトメンバーが背景を深く理解し、社内への浸透を深めていく必要性を感じていました。

坪西様:

ちょうどプロジェクトメンバーの入れ替わりのタイミングでもあったので、新旧メンバー間の知識の差を埋める良い機会だとも考えました。私から「削減フェーズに進むために、専門知識のアップデートが必要だ」と提案し、プロジェクトメンバーと社長の同意を得て、研修の実施を決めました。

スキルアップGreenを選んだ決め手を教えてください。

坪西様:

展示会などで探した中で、一番の決め手は講座が検定とリンクしていたことです。ただ学習するだけでなく、「検定合格」という明確なゴールと期限が設定されている方が、学習意欲を高く保てると感じました。排出量の可視化の次の「削減フェーズ」に進むためには、最新の情報を得て具体的な施策を検討できる専門知識が必要でしたので、体系的な育成プログラムを提供している点も魅力でした。算定支援サービスの担当者からスキルアップGreenをご紹介いただいたことも後押しになりました。

体系的な教材によりバラバラだった「自己流の知識」を「具体的な削減策を議論できる土台」に整備、削減策の実現へ前進

研修を導入して、どのような成果や従業員の反応がありましたか?

谷本様:

多くのメンバーから「知識の解像度が上がった」という声が聞かれました。私自身、入門講座で京都議定書からの世界の動向を時系列で学び直したことで、これまでバラバラだった知識が線で繋がり、「だから今この取り組みが必要なのか」とGXの全体像が非常にクリアになりました。
中級編でCFPの算定範囲や方法を学んだことで、これまで担当者に任せきりだった業務の裏側にある苦労や手間を、理解できるようになりました。データが共有された際に、自然と「ありがとうございます」という感謝の言葉が生まれるようになったのは、チームにとって何より大きな変化でした。

山田様:

私は管理部門で、各事業所のエネルギー使用量からGHG排出量を算定する業務を担当しています。これまでは自分でその都度調べて計算していましたが、研修で効率的に算出できる具体的な方法が分かり、日々の業務に直結する知識が得られて非常に有益でした。 通勤の隙間時間などを活用してオンラインで学習しましたが、短期間で集中して取り組めたのも良かったです。

柿沼様:

GX入門講座は、初めて聞く言葉も多く、覚えるのが大変な部分もありました。ですが、自分が社内向け勉強会の講師をする際に、研修で得た知識のおかげで、より噛み砕いて説明したり、一歩踏み込んだ話ができるようになったと感じています。知識の引き出しが増えましたね。

今後の展開について教えてください。

坪西様:

今回の研修は、目先の課題を外部に丸投げするのではなく、持続的な競争力となる知見を自社の血肉にするための「戦略的投資」と位置づけています。研修を通じて、具体的な削減策について、メンバーが共通の知識を前提に話せる土台ができました。例えば、Scope1の削減方法としてJクレジットを活用すべきか、他の手法が良いのか、それぞれのメリット・デメリットを比較検討するような、より高度な議論ができるようになったのは大きな進歩です。
今後は、ここで得た知識を活かして、2030年のカーボンニュートラル達成に向けた具体的な施策を検討していきます。横断型プロジェクトを推進していく上で、旗振り役となる人間が正しい理解と知識を持つことは非常に重要です。人材育成なしでは、競争優位性につながる施策は生まれないと考えていますので、今後も人材への投資は継続していきます。

これからGXに取り組む他の企業様へアドバイスがあればお願いします。

坪西様:

私たちの経験から言えるのは、部署横断型のプロジェクトは、各本部を巻き込むのに有効な手段だということです。特定の部署だけが旗を振っても、他の本部との間に温度差が生まれてしまいがちです。各本部の担当者が一人でも二人でも、サステナイビリティを「自分ごと」として捉え、組織全体を巻き込んでいく上で、私たちの部署横断型というやり方は有効だと確信しています。

また、化粧品業界特有の難しさとして、化粧品は一つの製品に非常に多くの種類の原料を使うため、サプライチェーン全体を把握するのが大変だという点があります。特に中小の原料メーカー様はまだサステイナビリティへの対応が不十分である場合もあり、CFP算定のための情報収集には苦労しています。ですが、我々が何のためにこれをやろうとしているのかを伝え続けることで、協力してくれるメーカー様もいます。粘り強く働きかけ続けることが重要だと感じています。

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