カーボンニュートラルに向けた企業の取り組み事例10選をご紹介!
カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすることであり、政府や自治体、企業が一体となって取り組まなければ実現は難しいでしょう。では、実際に企業ではどのような取り組みが行われているのでしょうか?
この記事では、カーボンニュートラルの概要やメリットを紹介した上で、10社の取り組み事例を紹介していきます。カーボンニュートラルに取り組みたいと考えている企業の担当者の方は、ぜひ参考にしてください。
そもそもカーボンニュートラルとは?
カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させて実質ゼロにすることです。日本では2050年までにカーボンニュートラルの実現を目指しており、政府や自治体、企業が協力して取り組んでいます。
企業が自社の温室効果ガスの排出量をゼロにすることは簡単ではありません。企業の業態によっては、ゼロに近づけるために努力しても、温室効果ガスが排出されることがあるでしょう。そこで、植林活動や森林保全活動に取り組み、地球上の温室効果ガスの吸収量を増やします。
これにより、自社が排出する温室効果ガスと、自社が取り組んだ活動による温室効果ガスの吸収量を均衡させてゼロになれば、カーボンニュートラル達成ということになります。
カーボンニュートラルに取り組むメリット
カーボンニュートラルに取り組むことで、地球温暖化の問題を抑制することができます。地球温暖化は世界全体で喫緊の課題となっており、COPなどを開催して解決に取り組んでいます。そして2015年に採択されたパリ協定では、以下の目標が掲げられました。
「世界の平均気温上昇を産業革命以前と比べて2度より十分低く保ち、1.5度以内に抑える努力をする」
2度目標に向けて、各国は温室効果ガスの排出削減が求められています。カーボンニュートラルに取り組んで温室効果ガスの排出を実質ゼロにすることができれば、地球温暖化問題の解決に大きく近づくでしょう。
また、企業がカーボンニュートラルに率先して取り組むことで、ブランドイメージの向上につながります。環境に配慮した経営や商品・サービス開発は注目されており、消費者や投資家からの評価が高まるからです。その結果、他社との差別化となったり、投資を受けやすくなったりするメリットも期待できます。
カーボンニュートラルに向けた日本の取り組み
カーボンニュートラルの実現に向けて、日本では以下のような取り組みが行われてきました。
- 2050年カーボンニュートラル宣言
- 「グリーン成長戦略」の策定
- 改正温対法の成立
それぞれ具体的に説明していきます。
2050年カーボンニュートラル宣言
2050年カーボンニュートラル宣言とは、2050年までにカーボンニュートラルを実現するという宣言です。2020年10月、菅元総理が所信表明演説において宣言しました。この宣言により、日本におけるカーボンニュートラルが加速しました。
「我が国は、2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すことを、ここに宣言いたします」
「グリーン成長戦略」の策定
2050年カーボンニュートラル宣言から2ヶ月後、「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」が策定されました。2050年までに成長が期待される14の産業分野に対して、規制緩和などを実施するというものです。
カーボンニュートラルの推進と並行して、イノベーションの創出や産業システム転換の推進を図り、経済成長を促すことが目的となっています。
改正温対法の成立
改正温対法の成立とは、2021年に地球温暖化対策推進法が改正されたことを指します。具体的には、「2050年カーボンニュートラル」が基本理念として明記され、企業の温室効果ガス排出量のオープンデータ化が義務付けられました。
また、地方公共団体に対しては、再生可能エネルギーの利用促進などに実施目標の設定が求められるようになりました。これらの改正により、企業や自治体におけるカーボンニュートラルに向けた取り組みが加速していくでしょう。
企業のカーボンニュートラルに向けた企業の取り組み事例10選
実際に企業ではどのような取り組みが行われているのか、10社をピックアップして紹介していきます。
1.株式会社セブン&アイ・ホールディングス
セブン&アイグループは『GREEN CHALLENGE 2050』という環境宣言を掲げており、2050年までの実現を目指しています。
CO2に関しては、2013年度比でグループの店舗運営に伴う排出量を80%以上削減する予定です。他にも、オリジナル商品(セブンプレミアムを含む)で使用する容器は環境配慮型素材を100%使用すること、食品廃棄物のリサイクル率を100%にすることなどを目指しています。
参考:https://www.7andi.com/company/news/release/20190508.html
2.東芝
東芝は『環境未来ビジョン2050』を策定し、達成に向けて尽力しています。具体的には、2030年までに2019年度比で温室効果ガス排出量を70%削減、そして2050年までにバリューチェーン全体でカーボンニュートラルを実現する予定です。
その他の取り組みとしては、温室効果ガス削減に貢献する商品・サービスの創出や、化学物質・水・生物多様性保全に関する対策の推進などを掲げています。
参考:https://www.global.toshiba/jp/environment/corporate.html
3.三井不動産株式会社
三井不動産は、グループ全体の温室効果ガス排出量を2030年度までに40%削減(2019年度比)、そして2050年度までにゼロにすることが目標です。具体的な取り組みとして、以下を掲げています。
- 新築・既存物件における環境性能向上
- 物件共用部・自社利用部の電力グリーン化
- 入居企業・購入者の皆様へのグリーン化メニューの提供
- 再生可能エネルギーの安定的な確保
- 建築時のCO₂排出量削減に向けた取り組み
不動産業界においてはZEHやZEBが主流となっており、今後ますます普及していくでしょう。
参考:https://www.mitsuifudosan.co.jp/esg_csr/carbon_neutral/
4.セコム株式会社
セコムは2021年に『セコムグループ カーボンゼロ2045』を策定・発表しました。2030年度までに2018年度比で45%削減、さらにサプライチェーン全体において2050年までに排出ゼロを目指していきます。
省エネ機器の導入をはじめとした節電・省エネ活動に取り組んでいる他、電気自動車や電気バイクの導入にも注力しています。
参考:https://www.secom.co.jp/corporate/sustainability/infra/environment/warming.html
5.味の素グループ
味の素では、サプライチェーン全体で2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすることを掲げています。また、電力の100%再生可能エネルギー化を目指すRE100へ参画しており、カーボンニュートラル実現に向けて積極的に取り組んでいることが伺えます。
加えて、2023年1月には川崎市の産業エリアのカーボンニュートラルを目指す世界的プロジェクトへの参画を発表しました。
参考:https://story.ajinomoto.co.jp/report/101.html
6.花王株式会社
花王は2040年までにカーボンゼロ、2050年までにカーボンネガティブを掲げており、他社と比べて高い目標の達成に尽力しています。
国際的なイニシアチブであるSBTイニシアチブ(SBTi)から「1.5℃目標」の認証を取得しており、RE100にも加盟。さらに2021年には、国内のすべてのロジスティクス拠点(55カ所)等で使用電力100%再生エネルギー化を達成しました。
参考:https://www.kao.com/jp/newsroom/news/release/2022/20220426-002/
7.大日本印刷株式会社
大日本印刷は2020年3月に「DNPグループ環境ビジョン2050」を策定し、持続可能なより良い未来に向けた「脱炭素社会」「循環型社会」「自然共生社会」の実現への取り組みを加速させています。
2023年6月にはOpenXと協業して、デジタル広告配信にともなうCO₂排出量を可視化、環境負荷の低い広告設計を提案するサービスを開始しました。自社における温室効果ガス排出量を削減するだけでなく、新しいサービスを創出している事例です。
参考:https://www.dnp.co.jp/media/detail/10162269_1563.html
https://www.dnp.co.jp/news/detail/20169279_1587.html
8.阪急電鉄株式会社
阪急電鉄では、京都本線「摂津市駅」の開業にあわせて駅に起因するCO2排出量を実質的にゼロにする取り組みを進めています。
具体的には、太陽光発電やLED照明、雨水利用などの省エネ施設の導入によるCO2排出量の削減とCO2排出枠購入などです。また、車両の外観に環境をテーマにしたラッピングを施す、車内のポスター枠をすべて環境をテーマに統一するなどして、環境に関するメッセージを発信しています。
参考:https://www.env.go.jp/press/12237.html
9.パナソニックグループ
パナソニックでは、カーボンニュートラルの実現に向けて主に以下の2つを推進しています。
- CO2排出量削減に貢献するソリューションを提供する
- 自社のCO2排出量を実質ゼロにする
これらの取り組みにより、2050年までにグループのバリューチェーン全体のCO2排出量を実質ゼロにする予定です。また、世界のCO2総排出量の約1%(≒3億トン)の削減インパクトを目指しています。
参考:https://www.panasonic.com/jp/company/ppe/environment/carbon-neutral.html
10.NIKE
NIKEもカーボンニュートラルの実現に向けてさまざまな取り組みを行っています。2025年までの目標は、以下の3つです。
- 環境に配慮した素材の使用を50%に増やし、温室効果ガス排出量を0.5Mトン削減する
- 拡張サプライチェーンにおいて、埋め立てから出た廃棄物を100%転用する
- 使用する真水の量を1キログラムあたり25%削減する
温室効果ガスの排出量だけではなく、サステナビリティを重視した目標を掲げて達成に向けて取り組んでいます。
参考:https://www.nike.com/jp/sustainability
まとめ
この記事では、カーボンニュートラルの概要やメリット、日本の取り組み、そして最後に企業の取り組み10選を紹介しました。
どの企業も高い目標を掲げており、達成に向けてさまざまな取り組みを推し進めています。多くの企業で取り組まれているのは、再生可能エネルギーの導入や省エネなどです。これからカーボンニュートラルに取り組むのであれば、まずはできることからはじめてみてはいかがでしょうか?
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