「自社のGX推進にはどんなスキルを持った社員が必要なのだろう?」
「GX人材の育成、何から始めればいいか知りたい」
そんなお悩みをお持ちの人事担当者・GX推進担当者の方は少なくないのではないでしょうか。
2024年5月16日、経済産業省が主導するGXリーグ内のワーキンググループ「GX人材市場創造WG」において、GXに必要なスキル等の指針となる「GXスキル標準」(GX Skill Standard、GXSS)が策定され、2025年5月にGX推進スキル標準(GXSS-P)Ver2.0が発表されました。この策定には、GXDiG・スキルアップGreenの運営企業でもある株式会社スキルアップNeXtが、GX人材市場創造WGのリーダー企業として携わりました。
本記事では、実際に策定に携わった企業として、GXスキル標準(GXSS)について分かりやすく解説します。
特設サイト:https://green-transformation.jp/gx_skillstandard/
資料置き場:https://gx-league.go.jp/news/20240514/
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SkillUp Greenの法人研修:https://green-transformation.jp/
SkillUp Greenが提供する講座一覧:https://green-transformation.jp/course/
GXスキル標準(GXSS)とは?
GXスキル標準(GXSS)とは、GXに関する知識やリテラシー、推進に必要な人材、役割、スキルを定義・標準化したもので、GX人材育成やGX組織開発の指針となります。
参考:GX人材とは
GXスキル標準は、「GXリテラシー標準(GXSS-L)」と、「GX推進スキル標準(GXSS-P)」の2つから構成されています。
GXSS-Lは、GXに関わる全てのビジネスパーソンを対象にGXに関するリテラシーとして身につけるべき知識と学習が期待される項目(学習項目例)を定義しています。2024年5月に発表されたVer1.0が最新です。
GXSS-Pは、GX推進に関わるビジネスパーソンに向けて、GX推進に必要な人材類型とロール定義に加え、関連スキルやレベルを定義しています。こちらは2025年5月にVer2.0にアップデートされ、より実践的な内容へと改訂されました。

図:GXスキル標準の種類とヴァージョン(2025年5月現在)
出典:「GXスキル標準(GXSS)」(2025年5月)」より作成
GXスキル標準に期待されること
GXリーグにより発表された資料「GXスキル標準(GXSS)」(2025年5月)によると、GXスキル標準に期待されることを、以下のように説明しています。
①リテラシーを標準化
- (GXの基礎的な知識等を)体系立てて学べるようになることで、関わる全ての人がGXを理解し、自分ごととして取り組むことができるようになる
- 組織が取り組むべきトランスフォーメーションの第一歩として認識され、人材育成による組織変革をより効果的に機能させる
②推進スキルを標準化
- キャリアアップ、キャリアチェンジのひとつとして個人の選択肢を増やす
- OJTによる育成に依存せず、必要な人材が市場全体で育成が活発化する
GXSSを通して、これまで以上にGX推進や人材育成が促進されるだけでなく、GX人材市場の拡大に繋げることも狙いです。

出典:「GXスキル標準(GXSS)」(2025年5月)」より
GXSSが策定された背景
GXSSは、経産省が主導するGXリーグ内のワーキンググループであるGX人材市場創造WGによって策定されました。
GX関連の求人は増加する一方、転職者数は伸び悩んでいます。スキルアップNeXtがリーダーを務めたGX人材市場創造WGでは、この課題を解決するには、求められる能力を定義した「スキル標準」と職務内容(ジョブ)を結びつけることが重要だと考えました。そこでまず、スキル標準の検討から進め、その成果として、「GXスキル標準」を策定しました。
GXリーグとは
2050年のカーボンニュートラル実現と社会変革を見据えて、GXへの挑戦を行い、現在および未来社会における持続的な成長の実現を目指す企業が、同様の取組を行う企業群や官・学と共に協働する場が、GXリーグです。活動の一つに、新市場創造に向けたルール形成があります。参画企業や詳しい活動内容は、GXリーグのWebサイトでご覧いただけます。
GX人材市場創造WGとは
GX人材市場創造WGとは、GX人材の必要性や重要性について議論するワーキンググループです。2023年のGXリーグ内にて、民間企業からの応募により設立されました。
GXDiG・GX検定の運営企業であるスキルアップNeXtがリーダー企業を務め、GX関連の雇用拡大に対応しつつ、人材やスキル、ジョブ(職務内容)を標準化し、GX人材市場の活発化と人材不足の解消を目指しています。
成果物等は、ルール形成を通じたグリーン市場の創造(市場ルール形成WG) のページでご覧いただけます。
以降、「GXリテラシー標準」「GX推進スキル標準」について、概要を解説します。
GXリテラシー標準(GXSS-L)Ver1.0
GXリテラシー標準は、GXに関する知識と学習項目例や学習到達度を定義しています。対象は経営層を含めたGXに関わる全ての方です。ITやDX人材育成における「ITスキル標準(ITSS)」や「DXリテラシー標準(DSS-L)」を参考に、下記の学習項目とそれに対する学習到達度が定義されています。
- GXの背景
- GX実現のために企業がすべきこと
- GXで活用される手法や制度
- マインド・スタンス

出典:「GXスキル標準(GXSS)」(2025年5月)」より
学習項目の例(マインド・スタンス)
ここでは、GXリテラシー標準が定める学習項目の中から、「マインド・スタンス」に絞って簡単にご紹介します。マインド・スタンスでは、企業のGXを推進する人材が身に付けるべき意識や姿勢を定義しています。
- バックキャスト
- 変化への挑戦
- コラボレーション
- エンゲージメント
- 多角的思考
- 継続学習

出典:「GXスキル標準(GXSS)」(2025年5月)」より
各項目はさらに「内容」「説明」「行動例」に分けて説明され、レベル1の「学習到達度」も示されます。
| マインド・スタンス「バックキャスト」 | |
|---|---|
| 内容 | 望ましい未来を想像し、そのビジョンを実現するために未来から逆算して必要な行動や戦略を定義する。目標達成に向けた具体的なロードマップを描く |
| 説明 | 2050年までにカーボンニュートラルな社会を実現するために、現状ベースを積み上げるという考えるのではなく、どのような技術開発、政策導入、ビジネスモデルの変革が必要かを具体的に検討する ほか |
| 行動例 |
ほか |
| 学習到達度 | バックキャスト思考の重要性を理解し、望ましい未来像から現在の行動を考える方法を説明できる |
出典:「GXスキル標準(GXSS)」(2025年5月)」より作成
GX人材を育成するには、知識だけでなく、適切なマインドとスタンスが必要です。人材育成に取り組む方の中には、「研修をただ受けて終わってしまう」、「eラーニングの講座を導入したが、受講しない従業員がいる」、「会社や上司からの要請に従い、仕方なくやっていた・・」というお悩みを抱えている方も多かったのではないでしょうか。
GXリテラシー標準では、社員がGXを自分事として捉えるための具体的な行動例も定義されています。人材育成計画の策定や、全社的なリテラシー向上にご活用ください。
GX推進スキル標準(GXSS-P)Ver 2.0
GX推進スキル標準では、GXを推進するために必要な人材のタイプ(類型)、役割(ロール)、スキルを定義しています。さらに独自指標のGXSSレベル標準を定義し、ロールにおけるレベル設定に反映しています。

出典:「GXスキル標準(GXSS)」(2025年5月)」より
GX推進スキル標準Ver2.0の「人材類型、ロール、スキル、レベル標準」について、以降で紹介します。
- 人材類型
- ロール
- スキル
- レベル
人材類型
GX推進スキル標準Ver2.0では5つの人材類型を定めています。Ver1.0からの変更点として「GXプロジェクトマネージャー」が新たに追加され、「GXインベンター」がスコープ外となりました。さらに、詳細定義された類型は「GXアナリスト」、「GXストラテジスト」に加えて、「GXマネジャー」と「GXコミュニケーター」も増えました。

出典:「GXスキル標準(GXSS)」(2025年5月)」より
ロール
ロールとは、それぞれの人材類型に定められた役割のことを指します。例えば「GXアナリスト」の場合、ロール「算定」が定義されています。GX推進スキル標準Ver2.0では、ロール毎に求められるスキルがレベル分けされました。これにより、企業が現場で実務者の育成に活用しやすくなることが想定されています。ロールの区分もVer.1.0から変更されています。
表 GXSS-P ロール一覧
| 人材類型 | ロール(Ver1.0) | ロール(Ver2.0) |
|---|---|---|
| GXアナリスト | 算定 | GHG排出量算定 GHG排出量分析 |
| GXストラテジスト | 削減計画 経営企画 事業計画 |
GX経営企画 GX事業計画・管理 GHG削減計画 GX情報開示 |
| GXプロジェクトマネジャー | ー | GXプロジェクトマネジメント |
| GXコミュニケーター | IR・広報 オペレーション 調達 営業・渉外 |
GX IR・広報 GX調達 GXマーケティング・営業 GX渉外・アライアンス |
出典:「GXスキル標準(GXSS)」・「GXスキル標準(GXSS)」(2025年5月)」をもとに作成
Ver2.0では、ロールをレベルで区分する「GXSSレベル標準」についても定義しています。詳しくは「レベル標準」のパートで見ていきます。
スキル
ロールにはそれぞれ、担う責任や主な業務を想定した上で、必要となるスキルが定められています。同じGXアナリストでも、ロールによって必要となるスキルが違うことがわかります。
重なる部分もありますが、実務においては複数のロールを一人が兼務したり、一つのロールでも数人でジョブを分担して取り組んだりすることも想定されています。
必要となるスキルの違い
| GHG排出量算定 |
|
|---|---|
| GHG排出量分析 |
|
出典:「GXスキル標準(GXSS)」(2025年5月)」より作成
レベル標準
GXSSレベル標準とは、GX人材育成や評価の際に参考となるレベルの指標です。各ロールに定めたスキルを通して何を達成できるのかによって、レベルの目安を示しています。
GXSSレベルの定義と対応するスキル
| GXSSレベル | GXSSレベルの定義 | スキル |
|---|---|---|
| 04 | プロフェッショナルとして独力で自社のGX推進の課題の発見・設定と解決・実行をリードすることができる | GX推進スキル標準 |
| 03 | GX推進において範囲(業務領域・部門等)を限定した業務をリードできる。プロフェッショナルとなるために必要な応用的知識・技能を有する | GX推進スキル標準 |
| 02 | GX推進において上位の指導者のもと、要求された関連業務を担当する。プロフェッショナルとなるために必要な基本的知識・技能を有する | GX推進スキル標準 |
| 01 | GXの重要性を理解し、基礎知識を有している | GXリテラシー標準レベル |
出典:「GXスキル標準(GXSS)」(2025年5月)」より作成
GX推進スキル標準が想定しているGXSSレベルは02〜04となっており、GXリテラシー標準は01として定められています。また、GX推進スキル標準では各ロールに対してそれぞれのレベルとその定義が定められています。
こうしたレベル標準に照らしてスキルを見ることで、各ロールを担う人材の配置や育成に役立てていくことができます。

今後の展開:GXスキル標準(GXSS)の活用方法
GXSSの活用事例としては、NTTドコモグループの「環境分野スキル育成プログラム」があります。「GXスキル標準(GXSS)」に準拠し、共通スキル研修と応用スキル研修に分けた段階的プログラムとなっています。
また、スキルアップNeXtから、活用に役立つコンテンツが公表されています。こちらもご活用ください。
GXリーグにより発表された資料「GXスキル標準(GXSS)」(2025年5月)には、GXリテラシー標準・GX推進スキル標準それぞれに「活用上で留意すべき点」が記載されています。活用を検討する際には、合わせて確認すると良いでしょう。
まとめ
本記事では、GXスキル標準と策定された背景、GXリテラシー標準とGX推進スキル標準について解説してきました。GXSSを活用して、自社のGX推進にお役立てください。
さらなる情報がほしい、実践したい方へ
GXスキル標準に関する動向は、「GXスキル標準浸透プロジェクト」のサイトでも発表されています。最新の動向や活用事例等については、こちらもご覧ください。
GXSSに関する詳細な資料は、GXリーグのサイトからダウンロードできます。ぜひご活用ください。
また、スキルアップGreenの講座はすべてGXSSに準拠して設計されています。これにより、受講者はGX推進に必要なスキルと知識を体系的に学ぶことができます。詳細な講座内容や受講の申し込みについては、スキルアップGreenのWebサイトをご覧ください。
特設サイト:https://green-transformation.jp/gx_skillstandard/
資料置き場:https://gx-league.go.jp/news/20220514/
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▼▼「GXリテラシー標準」に完全準拠▼▼
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