業種: | 公共機関・自治体 |
事業内容: | 「環境モデル都市」に認定されており、おひさまともりのエネルギーを地産地消のグリーン電力として利用した先進的な取り組みを、市内や全国に向けて発信しています |
導入カリキュラム: |
気候変動への対策として、緩和策、適応策を着実に進め、ゼロカーボン社会を実現するというミッションに取り組む組織です。様々な取組を行っていますが、現在、主な役割は2つです。1つが、再生可能エネルギーの普及、省エネルギーの推進といった、もはや当たり前の政策を着実に進めていくこと。たとえば、日照条件に恵まれた飯田の気候を生かした太陽光発電の普及、自動車から自転車へ移動手段を転換することによる脱炭素化を進めたり、市民のみなさんにサステナブルな生活を知り、実際にしてもらうためのイベントを企画・実施したりしています。もう1つが、環境省により選定された「脱炭素先行地域」の事業として、再エネ機器の補助事業や、市内すべての小中学校の環境教育などを推進し、地域の脱炭素化に先行的に取り組むことで、「より良い地域」をつくっていくことです。
地球温暖化対策を含む環境への取り組み自体は、1992年のリオ・サミットを受け、1996年から開始しています。この年に第4次基本構想基本計画を策定し、「飯田環境文化都市」の実現という目標を掲げ、環境と調和する「産業づくり」「都市づくり」「人づくり」として諸施策を展開してきました。そして、もう一歩先を見据えた取り組みを進めるべく、2021年3月に「2050年いいだゼロカーボンシティ宣言」を行いました。
飯田市は昔から公民館活動など、まちづくりが盛んで、たとえば「ムトス」(「~むとす」=「~しようとする」)といった“意気込み”を示す合言葉を掲げて、目的に向けて協働する姿勢が当たり前に根付いていました。今回の地球温暖化対策もそうですが、やらなければならないことに対しては、市民全体で取り組む意識が強かったのです。
一方で、私たちは全国に先駆けてゼロカーボンシティ構想を掲げたわけではありません。ゼロカーボンシティへの取り組みは、行政のみが行ってもその効果は極めて限定的であり、むしろ、市民代表の飯田市議会、事業者代表の飯田商工会議所、飯田市行政の3者が協働で取り組むことにより、飯田市全体の機運を高め、実現に向けてより多様性を持った展開が可能になると考えました。「一人一人の環境への取組みや思いが、文化の域に達するまで」という強い思いが込められた「環境文化都市」を目指す飯田市として、共同宣言を行うことが、全国でも初となる特徴的な施策だと考えています。まさに、飯田市の個性、強みを活かした独自のやり方でゼロカーボンシティを目指している段階です。
先のお話にも通じますが、飯田市では「地域ぐるみで力強く推進していく」大切さを謳っています。一人の百歩で解決するのではなく、「百人の一歩」をいかに積み上げていくかが、ゼロカーボンシティを実現するイノベーションにつながると考えているからです。
そのようななかで、ゼロカーボンに地域ぐるみで取り組む参加型組織「うごくる。(環境文化都市づくりプラットフォーム)」を設立しました。飯田市に関わる人々に、環境に対する学びの機会を提供し、協働しながら、ゼロカーボンに自立的に取り組んでもらう社会をつくる、というスキームです。本年度から本格的に稼働し、主に、学習機会の創出や参加者同士のコミュニケーション基盤をつくることに力を入れてきましたが、今後は高校生や大学生など、これからの未来を担う若者へのはたらきかけやプロジェクトも推進していく予定です。同時に、企業などの事業者も脱炭素経営に取り組むなかで、ビジネス的な面での事例共有や情報連携を行い、実践に移してもらう活動を強化していきます。
私たちの部署において、環境分野の見識に富んだ専門家はおらず、これまでは職員間の勉強会やセミナーへの参加などが、主な知識習得の手段でした。
ところが、ゼロカーボンシティ構想を実現するにあたり、市民のみなさんにお願いをする立場として、もっと「政策的なマインド」を上げたいという課題がありました。また、職員間での日常的な議論のレベルを高めていく必要性も感じていました。御社の研修であれば、そのようなニーズを満たせるだろうと思ったのです。また、環境省認定「脱炭素アドバイザー」資格に通ずる「GX検定」の仕組みがあったことも、導入の決め手となりました。環境分野に関する資格はほとんど存在しませんので、今後ゼロカーボンの考え方を市民に広く伝えていくうえでも、“後ろ盾”となる肩書があったほうが、市民、事業者のみなさんへの説得力や、伝える側の責任感も増すだろうという期待があったのです。
元々専門知識が少なかったので、GXに関する世界の状況やその背景、日本の動きについて、流れで学べたことがとてもありがたかったです。
特に私たちが「ゼロカーボンを目指しましょう」という発信をしていくなかで、市民のみなさんにはともすると「何かを我慢・制限しなければいけないのではないか」というマイナスイメージを持たれがちです。今回学んだ“GXを推進することが経済成長につながる”といったプラスの考え方を、対外的にも発信していきたいと思いました。
私は今年度から当課に配属となり、ゼロカーボンの知識がまったくありませんでした。課内の勉強会、セミナー参加や上司が講師を務める講演会への同行を通じて、専門用語などに対する表面的な理解はしていたものの、今回の研修で「具体的な」知識として学べた点が良かったです。今後の業務でも、世界や日本の動きなどの全体感を市民の方々に説明する機会がありますので、そのような場面で活用できそうだと感じました。
資料に記載された内容を自身で咀嚼し、変換して考えなければならない設問があった点が難しかったです。暗記がメインの学習方法でなく、もう少し自分で考えるプロセスが必要だったと思います。
率直に難しいなと感じました。少しずつ時間をつくり、動画を見て学習したものの、視聴しただけでは十分に自分のものになっていないのだということに気づきました。
今回、「GX検定 アドバンスト」を受検するにあたって、課のメンバー全員でコミュニケーションを取りながら一緒に学習を進められたことが良かったと感じます。1,000枚以上の講座資料を自分なりに整理し、オリジナルで検定対策資料を作成して共有してくれたメンバーもいました。職場の共通の話題として「GX検定の勉強、どこまでやった?」という会話がなされるなど、意見交換しながら協力し、切磋琢磨しながら取り組めたことが大きな収穫でしたね。
また、特にメリットを感じたのが、企業のみなさんに啓発をしていくための材料をいただいたことです。ゼロカーボンの推進は費用がかかることもあり、二の足を踏まれてしまうケースもあります。今回の講座や検定において、世界的な企業の取り組みや世の中の潮流を例に、ゼロカーボンの取り組みが与える自社の取引への影響に関する内容も含まれていたため、今後企業の方々と対話をする際に活用できる情報が得られたと思います。
私たちが推進する「うごくる。」は、人と人とをつなげたり、地域をつなげたりといったファシリテートが求められる仕事です。そのようなスキルを高めていけるよう、職員自身の研鑽に結びつくような人材育成が今後も必要不可欠です。
そのような意味で、「GX検定」に関しても資格を取得して終わりではなく、新たな展開も検討中です。今後の計画としては、より上位の「GX検定 スペシャリスト」資格受検に繋げていきたいと考えています。
まず、「うごくる。」については、Z世代をはじめとする若者をターゲットとした「うごくるZ。」、ビジネスをターゲットとした「うごくるB。」など、もう少し細分化をして力を入れていく予定です。同時に、外部人材を活用して、対外的な広報も強化していかなければいけないと考えています。実はこの「うごくる。」にはすでに高校生や、事業者など、いろんな立場の方が参加してくださっていて、飯田市の議員も参加しているんですよ。そして参加者みんなで前向きに飯田市の未来を考えてくれています。今年度、市内の高校生グループの発案で、「環境文化都市いいだの未来を一緒に考えよう!」をテーマにしたワークショップを、「つながりと行動を生み出す未来のカタリバ『うごくる~む。』」と題して実施しました。高校生を中心に活発な議論ができただけでなく、その際に出たアイデアを、ワークショップを発案した高校生グループが実際に市長に提案し、次年度の予算化にもつながりました。
また、脱炭素先行地域としての取り組みにおいては、災害時のレジリエンスの向上とエネルギーの地産地消を推進する「地域マイクログリッド」にも着手していきます。さらに、小中学校向けの環境教育を本格的に始め、人材育成を進めるほか、学校などを対象に太陽光発電を中心とした再生可能エネルギーの最大限導入も進めていきます。引き続き、今あるものを磨きながら、新しい取り組みにも躊躇せずにチャレンジを続け、ゼロカーボンシティ構想を推進していければと考えています。
企業や自治体のGX推進担当者として必要十分な知識が得られるよう、GXの最新トレンドや実務で活用可能なレベルの知識を体系的に身につけられるように構成している講座です。