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2027年適用、GHGプロトコル「土地セクター基準」が求める新たな算定実務とデータ管理

2026年1月、温室効果ガス排出量の算定・報告に関する世界標準を定めるGHGプロトコルから、「土地セクターおよび除去基準(Version 1.0)」が公表されました。本基準は2027年1月からの適用が予定されており、農林水産物に関わるサプライチェーンを持つ企業にとって、今後の実務の指針となる重要なルールです。
これまでの排出量算定では、業界平均値などの二次データを用いた「推定」が広く行われてきました。しかし、この新しい基準の登場により、今後はより実態に即した精緻なデータ管理が必要になります。本記事では、このルールが策定された背景や、実務においてどのような変化への対応が求められるのかを解説します。

 

*この記事はスキルアップGreenのホワイトペーパー「2027年適用 GHG Protocol 土地セクターと除去基準を読み解く」の内容を再構成したものです。
https://green-transformation.jp/documents/2027_ghg_protocol/

なぜ、土地セクターに特化した新しい基準が必要なのか

気候変動対策において、これまで主な焦点はエネルギー消費や工業プロセスに当てられてきました。しかし、世界全体の温室効果ガス排出量の約4分の1は、農業や林業などの土地利用に関連する分野(AFOLUセクター)から生じているという実態があります。

土地には、木々や土壌が二酸化炭素を吸収・貯蔵する一方で、森林破壊や農地への転換によって膨大な排出源にもなるという複雑な性質があります。既存の算定ルールだけでは、この排出と吸収の複雑な動態を正確に捉えきれないという課題がありました。
そこで、土地に由来する排出と炭素除去の基準を明確にし、企業の脱炭素への取り組み(ネットゼロ)をより客観的に評価できるようにするために、今回のルールが整備されました。

推定データから物理的証拠を重視する算定へ

実務担当者の皆様にとって、今後最も大きな変化となるのは、算定の根拠としてこれまで以上に「物理的な証拠」が求められるようになる点です。

 


※詳細はホワイトペーパー p.13 を参照
https://green-transformation.jp/documents/2027_ghg_protocol/

 

土地セクターの排出量は、世界の排出構造において極めて大きな割合を占めています。特に、森林を農地へ転換する際に発生する土地利用変化(LUC)による排出インパクトは極めて甚大です。このため新基準では、排出量を算定する際、対象となる土地が過去20年間にわたってどのように利用されてきたか、その履歴を遡及的に確認することを求めています。
これまでの業界平均値を用いた簡易的な計算では、こうした長期的な土地の変化や、特定の産地で行われた改善努力を適切に評価することができません。今後は「どの農地で、どのような管理が行われているか」という現場レベルの追跡が、算定の信頼性を左右することになります。

炭素除去をインベントリに計上するための「永続性」の壁

排出量の削減と並んで関心を集めているのが、大気中から二酸化炭素を取り除く炭素除去です。しかし、この除去分を自社の排出量と相殺(計上)するためには、非常に厳しい条件をクリアしなければなりません。

 


※詳細はホワイトペーパー p.21 を参照
https://green-transformation.jp/documents/2027_ghg_protocol/

 

ここで鍵となるのが、除去した炭素が長期間にわたって貯蔵され続ける「永続性」の証明です。例えば、木を植えて炭素を吸収させても、数年後にその木が失われてしまえば、吸収された炭素は再び大気中に戻ってしまいます。
炭素除去を自社の成果(インベントリ)として正式に認めるためには、正確な算定はもちろんのこと、その状態が維持されることを証明し、他者との二重計上を防ぐための厳格な管理体制が必要となります。

2027年1月に向けて、まず何に着手すべきか

2027年という期限は、データ収集の仕組みをゼロから構築し、サプライヤーとの調整を済ませるには、決して十分な時間とは言えません。
まず必要になるのは、単に数値を計算することではなく、自社のサプライチェーンのどこに「土地由来の排出」が潜んでいるのかを正しく把握し、新基準が求める「追跡可能性(トレーサビリティ)」のレベルを整理することです。
具体的には、農場単位の特定をどの程度まで進めるべきか、また炭素除去をどのように自社の戦略に組み込んでいくか、といった実務的なロードマップを早期に描くことが、混乱を避けるための第一歩となります。

 

しかし、膨大で複雑な基準書の内容をすべて把握し、自社の実務に落とし込む作業は容易ではありません。そこで、スキルアップGreenでは、実務担当者の視点で新基準のポイントを整理した約30ページの図解資料を作成しました。本記事では概要の紹介に留めましたが、資料内では「トレーサビリティの具体的な境界設定」や適用に向けた実務ロードマップ」など、具体的な準備に役立つ情報を網羅しています。ぜひ、実務推進にお役立てください。

GXメディア編集部
GXメディア編集部
GX人材育成サービス「スキルアップGreen」が運営するオウンドメディア、「GX DiG」の編集部です。GXやカーボンニュートラルに関する基礎知識やGX推進に役立つ人材育成に関する情報を日々発信していきます。今後もコンテンツはどんどん追加していきますので、GX関連の学びを深堀り(DiG)していきましょう。